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特集「秋の夜長のミステリー7連発」

2019年11月6日

特集「秋の夜長のミステリー7連発」⑥
霊界ボリシェヴィキ(2018年 ミステリー映画)

監督 高橋洋

出演 韓英恵/巴山裕樹

シネマ365日 No.3020

異端の潮流 

秋の夜長のミステリー7連発特集

 映画で見る心霊体験です。廃工場に集まった男女7人が「怖かった体験」を語る。刑務所の看守は死刑囚が執行日当日に見せた異常な抵抗とその怪力は、人間のものじゃなく「大の男が数人がかりでも抑えられなかった力はどこからくるのか、私は何かに触れたような気がした」。ユキコ(韓英恵)は8歳の時神隠しにあい、数ヶ月後か数日後か、草むらの中に倒れていたのを母親が見つけた。霊媒師の宮地さんは「山で弟と一緒にあるものを見た。山の稜線をそれは這い上がっていき、その夜私と弟は熱を出し、翌朝弟は死んだ」。水害にあった女性は夢で水の引いた跡の現場に行き、見知らぬ女性が廃墟となった部屋に立っているのを見た、彼女はここ、ここ、と指で指し、そこに人が死んでいたことを教えた。ユキコの友人(巴山裕樹)は人を殺したことがある。そんなにあの世に興味があるなら、誰か殺して化けて出るか試せばいいじゃないかと思い、僕と二股かけていた女性を崖から突き落とした。遺体が発見され女の恋人が警察に捕まった。彼は自分が殺したと自白したそう。あの日ポケットに数珠が入っていた。誰が何のために。わからない。知っているぞというサインのように思え怖くなった」▼心霊会の目的は一番霊能力の強い者に、あの世を呼び出させること。でも霊媒師は言うのだ。「あの世なんてあるはずないじゃない。私たちは化け物を呼び出すしかない」。化け物って霊のことなのでしょうか。集まったのは霊感の強い人ばかりで、彼らにアプローチしようと霊がよってくるのだけど、廃工場の至る所に集音マイクや録音設備があったにもかかわらず、霊の存在は捉えられない。主催する事務局の女は「失敗でした」と一言、順番に参加者を拳銃で射殺し、自分も頭を撃ち抜く。意味、わかった? わかるかい。でもインチキだとか、騙されたという気はしないのよね。わたし、佐藤愛子さんの大ファンで「冥土のお客」は愛読書の一つだから、本作にも違和感はなかったのよ。佐藤さんがホテルである夜妖しいうめき声を聞いた。霊が来たに違いない、彼女は傍に置いた塩をわしづかみにし、音の聞こえる壁をめがけ「南無妙法蓮華経」大音声と共に何度も塩をぶつけると止んだ。翌日佐藤さんを睨みつけて隣室からチェックアウトするアベックに出会った…笑い転げたわ。本作にはオカルト体験そのものの経験談が登場する。「霊界ボルシェヴィキ」の名付け親、武田崇元氏によると1968年、パリの五月革命はじめ世界中に若者の反乱が生じ、文化的な大きなうねりになっていった。日本では寺山修司や唐十郎のアングラ演劇、ドラッグカルチャーやヒッピームブメントが起こった。その対抗潮流とリンクして霊的世界への召喚、オカルトが復興したと捉えています。現実社会の主流に対抗する「異端の潮流」だったわけね▼高橋洋監督は「リング」「リング2」の脚本家です。彼の真摯な取り組みや解釈や、俳優陣の声と表情だけの芝居で本作は成り立っています。特撮やCGがあるわけじゃない。みな力演よ。世界観を同じくしたチームワークの強さね。でも最後に全員銃殺というのはあんまりでしょ。ボリシェヴィキの「粛清」ってこと? ミステリーてんこ盛りの異色作でした。

 

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