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トピックス

2019年11月8日

「死」の意識が人を成長させる。「老い」をもっとポジティブに!

特定非営利活動法人 老いの工学研究所
理事長 川口雅裕氏

 

高齢期や高齢社会に関する調査結果から高齢者が活き活きとした生活を送るための答えを導いてきた、高齢期の暮らしのシンクタンク「老いの工学研究所」。その理事長を務める川口雅裕氏に、これからをよりよく生きるためのお話を伺いました。

 

「老い」をポジティブに!
若い人が憧れるおじいちゃん・おばあちゃんに!

 

「『高齢者』というと『弱者』『かわいそう』『しんどそう』というイメージが定着していますが、実際は違います。ここ10年くらいで5才ほど肉体年齢が若返っています。時間もお金もあって、経験も豊富。もっと自分の力を活かして、リーダーシップを発揮してもいいんじゃないかと思うんです。研究所発足当時は『老い』という言葉にはネガティブな印象がありました。だからこそ、あえて研究所の名前に付けたんです。

 

『アンチエイジング』などと年を取ることを嫌う傾向にありますが、『エイジ(age)』は本来『熟成』というプラスの意味を持っています。ワインやウイスキーを寝かすことも『エイジング』と言い、旨味を増す、プラスの意味です。『老い』という言葉にも、そんな意味を感じてもらえるようになればいいなと思います。

 

そして、若い人たちが年を取ることを恐れない、そんなかっこいいおじいちゃん・おばあちゃんになってほしい。そのためにも、調査や研究だけしていてはダメ。それを実際に社会に役立てなければならない。『工学』には『実用的にする』という意味があり、調査結果を企業の商品やサービスに利用して高齢社会に役立てる橋渡しをするのが、我々の役目です」

 

 

「死」を意識すれば、
見えてくること、できることがある

 

「調査結果や研究成果をもとに最近は講演を依頼されることも増えました。聞きに来てくださる方々はご高齢者が多いのですが、死や老いについて話しても笑いながら聞いてくださるんです。昔だったら『縁起が悪い』と怒られたような話でも、笑って受け入れてくれる。この研究所を開設した当初から考えると、前向きにとらえる風潮に変わってきたように感じます。

 

近年は『終活』なども言われるようになりました。私は『終活』っていい言葉だと思います。戦後の日本人は『死』への意識が足りない。ほとんどの宗教で『死とは何か』との教えがあり、信仰心の篤い人は子どもの頃から死を意識しているでしょう。しかし、日本人はお葬式くらいしか宗教と関わらない人が多く、近所づきあいも希薄なので周りのお年寄りが亡くなっても『死』を意識しない。でも、人は必ず死ぬのです。『終活』をすることで初めて『死』を意識する、という方も少なくないのではないでしょうか。

 

『死』を意識すると、人は成長します。3年前、私の父が肺がんで亡くなりました。『90まで生きたい』とただ年齢だけを目標にしていた父が、依頼を受け医学部生に『死を前にした人は何を考えているか』を話して以降、明らかに変わりました。成長した、立派になった、とでも言いましょうか。死を意識したことで、何かを残したい、何かできることをやっておきたい、と考えすごい力が湧いてくるのでしょう。死を意識することがより良く生きることにつながる、父を見ていてそう実感しました」

 

子どものための家が今の「最適」?
「環境」の終活は早めが賢明!

 

「とはいえ、先述した通り、肉体的に50代、60代で衰えを感じないので『終活』を始めようという気になれない方も多いようです。でも、『環境』についてはなるべく早く考え行動することをお勧めします。

 

今の家を買った時のことを思い出してください。子どもの部屋はあるか、学区はどこか、通勤通学に便利か、そんな基準で選んでいませんか? でも、子どもが成長しご主人が定年退職したら、学区も通勤も関係ない。これまでの『基準』が意味を持たなくなる。むしろ、使わない子供部屋まで掃除するのは負担だったりもしますよね。それに老朽化もして不便や不具合もあるはず。なのに、つい我慢してしまう。年を取ると『新しいこと』に対する抵抗が増すんです。環境を変えるのは面倒くさいし、勇気もいる。しかし、これから先の人生、ずっと我慢したままでいいですか? 身体的には元気で大丈夫でも、環境は『今』求めていること、大切にしたいことを実現できる場所を選ぶ方が有意義だと思います」

 

施設難民増加の時代に突入
「自衛」と「共助」が必要に

 

「もし『将来は施設にでも入ればいい』と考えているなら大間違いです。数年後には、簡単には施設に入れなくなります。介護保険の財政難から国は要介護2までの人は施設に入所できなくなる見通しです。したがって、不調でも自宅で何とかしなければなりません。しかし実際には、家というのは事故の8割近くが発生している危険な場所です。それゆえ、早めに安全で楽しい環境に移り『自衛』に努める必要があるのです。

 

たとえば、段差や温度差などがなく、24時間の有人管理や医療・介護の連携などの安心なサービスが受けられる高齢者のためのマンションも選択肢の一つでしょう。人は一人では生きていけません。『いい依存』が大事です。昔あった長屋の井戸端会議はまさにその典型ですよね。イベントなどの特別な時だけでなく、日常的に緩いつながりの中で、それぞれに合ったちょうどいい距離を保ちながら交流する。会話だけでなく、『○○さん、見かけないけどどうしているんだろう?』とお互いに見守り助け合っている『共助』の関係でもあります。そういう空間が、今は随分減っているのが残念ですね。そんな『長屋の井戸端会議』のような住民が個々に主体性を持ちながらも共助し合える環境は理想的ですよね。

 

私は60代からの人生を『人生の第三ステージ』だと思っています。この先の人生を輝かせるために、ぜひ意識を変え環境を整える、ということに挑戦してみてください」

「ハッピーエイジング・連続講座」開催

 

「老いの工学研究所」では、12月19日(木)~12月22日(日)の4日間、淀屋橋マスターズ情報館(地下鉄淀屋橋駅13番出口南側すぐ)にて、「ハッピーエイジング・連続講座」が開催されます。「楽しく健康的な高齢期を実現する」ための商品・サービスを講座・セミナー形式で紹介。老後資金のこと、相続のこと、終活のこと、婚活のことなどバラエティに富んだ内容で、気になるアレコレをスッキリ解消し、役立てられますよ。 10社が日替わりで催しを行い、プレゼントがもらえたり、スマホで写真を撮影して絵葉書づくりを体験したりと、盛りだくさん! 

 

参加無料。受講ご希望の方は、お名前・ご住所・お電話番号・ご参加人数(3名まで)と参加したいセミナー番号(複数可・下記参照)をご記入の上、FAX06-6223-2420、または、メールinfo@oikohken.or.jpで「NPO法人 老いの工学研究所 連続講座受付担当宛」までお申し込みください。

 

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