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特集「神も仏もない映画」

2019年11月24日

特集「神も仏もない映画3」⑨ 
アンセイン〜狂気の真実(下)(2018年 劇場未公開)

監督 スティーヴン・ソダーバーク

出演 クレア・フォイ/ジョシュア・レナード/ジュノー・テンプル

シネマ365日 No.3037

正気と狂気の境 

神も仏もない映画特集

 ソーヤーとサイコ男の対決です。同室の患者に自傷癖のヴァイオレット(ジュノー・テンプル)がいる。独房に監禁されたソーヤーにサイコ男が忍び込み「ニューハンプシャーに山小屋を持っている。自給自足だ。幸せになれるよ」薪割り、水汲み、うさぎ狩り…誰がやるか。ソーヤーは絶叫する「あんたが死ぬほど嫌いなのよ! あんたは誰も愛せない。父親がぼけていてよかった。2年も私をつけまわして、その間別の女性に巡り会えたでしょうが! 愛は自分の信念を曲げて誰かに尽くすことよ。私を愛している証拠を見せて。誰かを連れてきて目の前でやって。ヴァイオレットがいいわ」ソーヤーこそ支離滅裂ですが、デヴィッドは夜中にヴァイオレットを連れてくる。なぜ彼女かというと、いつも割れガラスを持っていて、それで自傷しているからです。人を自分の身代わりにして、危険な役を振り当てるヒロインがどうにも好きになれませんでした▼ソーヤーがヴァイオレットを抱き、デヴィッドが生唾を飲んでいる隙にガラスの破片で彼の喉を切り、部屋を脱出します。誰が敵か味方か識別できないヴァイオレットはデヴィッドに殺される。ソーヤーは屋外に脱出しましたが後ろからガツンとやられ、気が付けばデヴィッドの車のトランク。傍らの大きなビニール袋に母親の死体。ソーヤーは蓋を開け走る車から飛び降りる。警察では身元不明の死体が公園で発見され、指紋照合の結果ジョージ・ショーンという医師だとわかった。それこそデヴィッドが施設で名乗っていた名前で、彼は医師を殺してなりすまし、ソーヤーを追いかけてきたのだ。新聞社は連絡の途絶えたネイト記者を懸念し捜索令状を取った。院長のデスクからネイトの残した取材メモが発見された。6ヶ月後、ソーヤーは部下のジルとランチをとっている。「勤勉なあなたに会社は感謝しているけど、もう潮時よ。デスクを片付けて。ランチもおごって」「あなたって最高にイヤな女ね」ボス風を吹かす快感に浸っていたソーヤーは、少し離れた席にいる男二人に目を留める。こんな会話が聞こえた。「美人だし親切な女性だ。父も気に入っている。平日は銀行勤務で週末はホスピス。運命の人かもしれない」。ソーヤーはナイフを手に男の背後に近づく。振り向いた男はデヴィッドではなかった。奴の黒い影がまだ自分を支配している。ソーヤーは怯えながら店を出た。母親を、ネイトを、ヴァイオレットを殺した殺人鬼の最愛の女は自分。たとえデヴィッドが刑務所にいるとしても、死刑になるとしても、彼が及ぼした恐怖は心を安んじさせず、正気と狂気の境目をさまよわせる。映画はここでぷつん。誰が彼女を助けられる? 映画は答えを出さない。

 

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