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特集「ナンセンスは素敵だ」

2019年11月27日

特集「ナンセンスは素敵だ5」② 
ルーム205(2011年 劇場未公開)

監督 ライナー・マツタニ

出演 ジェニファー・ウルリッヒ/ユリア・ディーツェ

シネマ365日 No.3040

なんぎな映画

ナンセンスは素敵だ特集

 「アイアン・スカイ」で光っていたユリア・ディーツェの作品をもう少し見てみるか。で、選んだのがこれ。わりとよくできていると思うのですけど、わざと映画を曖昧にしているところがあって、結実度を弱くしています。ユリア・ディーツェが復讐鬼になっています。ヒロインは大学の学生寮205号室に入寮したカトリン(ジェニファー・ウルリッヒ)。過去にアニカ(ユリア・ディーツェ)という学生が失踪したという曰く付きの部屋だ。カトリンの身辺で彼女と関係ある学生が次々殺される。ボーイフレンドとなったクリスティアン、彼の元カノでカトリンに嫉妬するサンネ、医学部のカルメン、IT専攻のニコ。死に方はみな違うが、一見事故死のようだ。高所から落ちる、誤ってビニール袋を巻きつけ窒息死、足を滑らし床で頭を打つなど▼アニカはクリスティアンら4人の学生を誘惑し、巧みに隠し撮りしてレイプされたようなビデオを捏造し、それをネタにゆすって滞納している寮費や学費を払わせていた。ところが要求額がだんだん高くなり、断ろうとした彼らと争ううちに殺された、まあ事故死みたいなものですから適切に処理すれば事件でもなんでもなかった。アニカの妹の存在も話を混乱させているだけです。アニカは妹を冷蔵庫に閉じ込めて殺したビッチという前振りがあります。アニカの死体を廃工場の高い煙突のてっぺんから捨てた、と生き残りのニコがいう。カトリンは遺体を確かめに煙突の底まで降りていき、壁一面に殺してやる、恨んでやる、と書きなぐった後を発見、アニカは生きていた…▼結論はカトリンの妄想だったということで彼女は精神病院に収容されます。妄想を着地点にする映画はたくさんあります。「タリーと私の秘密の時間」「スイミング・プール」とかがよくできているのは、どこまでが妄想でどこからが現実か、線引きが明確で物語の整合性がしっかりしているからです。本作は見終わって散々、考えこまされた。学生たちが死んだのは死体がちゃんとあるからヒロインの妄想ではない、彼女の父親が死んだのもお葬式までしているのだから現実だ。アニカの遺体は煙突の底から発見されたから、これも妄想ではない。しからばアニカは強い復讐の念によって死に切れず、この世で恨みを晴らすため、次つぎ人を殺していった…でもね、原因を作ったのはアニカ自身だから、ひどい逆恨みじゃない。おまけにカトリンの父親に何の遺恨があるのよ▼ただカトリンの母親は自殺でして、カトリンがもう少し早く家に帰れば阻止できていたかもしれないという後悔が彼女にある、首が背中に曲がっている歪んだ死体を見てカトリンは心に傷を負った、以後薬を常用している。父親は医師で、彼の処方による薬だが医学生のカルメンが見たところ、かなり強い薬で服用をやめると副作用が現れる。カトリンは母親の自殺のトラウマによる極度の不安神経症で妄想を肥大させ、殺人までやった挙句、アニカと結びつけた呪いの筋書きが出来上がったってこと? 薬の服用の中断(カルメンが捨ててしまった)が引き金になって? なんにせよカトリンの神経症発症で映画はエンドになります。ド単純なホラーの見かけによらず、ややこしい映画だった。これにてケース・クローズ(本件は終了)。  

 

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