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特集「令和の新春ベストコレクション」

2020年1月10日

特集「令和の新春ベストコレクション」⑩ 
ある少年の告白(下)(2019年 社会派映画)

監督 ジョエル・エドガートン

出演 ルーカス・ヘッジス/ニコール・キッドマン/ラッセル・クロウ/ジョエル・エドガー

シネマ365日 No.3083

もう黙っていない 

令和の新春ベストコレクション特集

サイクスとスタッフに抑え込まれたジャレッド。母親ナンシーが駆けつけ、ドアをガンガン叩く。「息子を放して。ここを開けないと警察を呼ぶわよ!」サイクスは諦めて手を引く。「彼は破滅するぞ」「煩いわ」とママ一喝。息子を急かして車に乗せ、キッとサイクスに向き合う。「一体あなたの資格はなに? 専門の医師? 心理学者?違うわね。思った通りだわ。恥知らず」車に乗り込み、「私もだけど」。今まで息子の気持ちを知りながら、見て見ぬフリをしてきた自分も恥知らずだと言っています。ここからはキッドマンの独壇場ですから、彼女のセリフに任せます。「お父さんと電話で話した。施設に戻れと。家で話そうと伝えたわ。お父さんの友達の牧師らが来た夜、男たちだけであなたのことを決めた。私は黙って従った。いつものように。彼らは子供のために苦痛が必要だというけど母親は何かが違うと感じる」▼「私ははっきりわかったの。こんな苦痛は間違いだと。でもあなたを救われず口を閉ざした。この先、後悔し続けるわ。でももう黙っていない。その時が来たのよ。お父さんを説得する。今度は私に従ってくれていいはずよ」わずか数分間ですが、キッドマンの声と表情がジワ〜と染み込んでくるシーンです。妻としてのナンシーにも変化が生じた。教会には時々行くが基本的にヤメ。夫とは距離を置く。ある日警察が来てキャメロンが自殺したと知らせた。4年後。ジャレッドの記事「アーメンと言え! 矯正施設の真実」がタイムズの特集になった。書き加えて出版の話が決まった。母親から電話「記事を読んだわ。辛いけどとてもよかった」「父さんは? まだ読んでいないのだね。母さんはなぜ教会に行かないの」「行くわよ。たまに。父さんのために。私は神を愛しているわ。神も私を愛しているわ。私は息子を愛している。単純なことよ。でも父さんにはもう少し複雑なことなのね。残念だけど」。ジャレッドは父に「父さんがしたことで僕は深く傷ついた。自分のことばかり心配していた。僕はもうフリはしない」「お前を失いたくない」「そうは見えない。僕はゲイで父さんの息子だ。受け入れられないならこれで終わりだ。僕を変えることはできない。失いたくないなら父さんが変わるしかない」「わかっている。努力するよ。必ず」和解を暗示して映画は終わります▼牧師という立場で父は「矯正」することが正しいと信じていたわけだけど、そんなものかしら。どこの国のどんな親でも、子供本人にとっていいなら、それでいいと思うのが自然だと思うけど。母親のナンシーは直感的に息子が間違っていない、とてもいい子で何らおかしいことはないと信じています。頭の固い親父を演じて終始もっさりしていたラッセル・クロウは分が悪かったとはいえ、重厚感(体重ではなく)ありました。エンドロールの字幕にドン引きしたけど、サイクスは施設を辞め、ゲイのパートナーと幸福に暮らしているそうです。彼の同性愛者への高圧的なイジメは、抑圧とコンプレックスの裏返しだったのね。

 

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