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特集「パイオニア・ウーマン」

2020年1月15日

特集「パイオニア・ウーマン」② キャスリン・ビグロー2 
悪魔の呼ぶ海へ(下)(2000年 劇場未公開)

監督 キャスリン・ビグロー

出演 キャサリン・マコーマック/ショーン・ペン/サラ・ポーリー/エリザベス・ハーレイ

シネマ365日 No.3088

殺害の叙述 

特集「パイオニア・ウーマン」

夫と居候のワグナー、兄のエヴァンが漁に出て夜は女三人になった。寒いから一緒に寝かせて、と言って義姉のアネットがベッドに来る。マレンは眉をひそめるが承知する。義姉は「マレン、頼りになるわ。母鳥みたい。顔が熱いわ。頭が痛いの? もんであげるわ」こめかみを柔らかく揉み、次に背中をさすり「愛しているわ」頬にキスして眠りにつく。マレンは「私も愛しているわ」とつぶやく。実姉が部屋を覗くとマレンと義姉は裸で寝ていた。実姉は逆上し「性癖の悪さは結婚で治るかと思ったのに。兄のエヴァンと寝たからアメリカに追いやったのよ。愛じゃない、病気よ」。マレンは椅子で実姉を殴り倒し、掴んだ斧を頭に振り下ろす。驚愕した義姉は窓から逃げた。追いかけて頭を一撃した。供述書には「経験した者でないとわからないだろう。怒りは瞬く間に全感覚を覆い尽くす」▼現代では、倦怠期にいるジーンとトーマスの間に、弟の恋人のアデリーンが入ってくる。アデリーンを見るトーマスの目つき。ショーン・ペンならでは、のネトッとした視線。受けるエリザベス・ハーレイも口に含んだ氷を取り出したりまた口に入れたり、また手に受けて胸、太腿、腕をゆっくり撫で回したり。トーマスが自作の詩を朗読するとか、飲酒運転で17歳の少女を死なせた事故などが明らかになるが、とても、とても、過去の殺人事件の精緻な描きこみとサラ・ポーリー演じるマレンの、腹に応える演技の前には影が薄くなっています。ジーンら4人が乗ったヨットは、沿岸一帯に嵐が来て浸水、水をかいだすドサクサの時にアデリーンが「私がここへ来た目的はあなたなの」唐突に言う。「そうなの?」とジーン。この件はまったく収拾なく映画は終わるので、過去のマレンとアネット(義姉)の関係とリンクするのかしないのかわかりません。監督も海に投げ出されたジーンにマレンの幻想を見させるという中途半端な締め方で、4人は海の藻屑になったことが暗示されます。現代版は、4人が束になって過去版にかなわなかった出来が気の毒なくらい。サイコのマレンと殺人に的を絞り込んだほうがよかったわね。アデリーンのエリザベス・ハーレイは完全に脱ぎ損でした。実姉カレンになったカトリン・カートリッジ。ラース・フォン・トリアー監督の「奇跡の海」、クリス・メンゲス監督の「ロスト・サン」などに出演し、本作の2年後41歳で亡くなりました。船着場に降り立った途端、マレンに嫌味を言う中年のイケズ満開女子を好演しています。

 

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