女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「最高のビッチ」

2020年2月11日

特集「最高のビッチ10」⑪ スーザン・ヘイワード2 
私は死にたくない(下)(1959年 事実に基づく映画)

監督 ロバート・ワイズ

出演 スーザン・ヘイワード

シネマ365日 No.3114

文句なしのオスカー 

特集「最高のビッチ10」

バーバラには取り調べられるいわれがなかった。事件当夜は夫と口論して彼は飛び出したのだから。しかし夫は行方不明。決め手を欠いた検察は汚い手を使う。同房の女囚リタを買収し、アリバイを偽造する男を金で雇えるとバーバラに持ちかけたのだ。やってきた男は警官で、隠しマイクでバーバラとのやりとりを録音し、検察側の有力な証拠となった。新聞は初めからクロだと論調を決めつけていた。リタは殺人罪で服役中だったが執行猶予で仮出所をものにした。バーバラの弁護士マシューは誠実だった。死刑判決の後も諦めず、犯罪学者であり心理学者のパールバーグをバーバラに接見させた。いくつかの聞き取りと実験の後、パールバーグの結論は「無実だ。上訴すべきだよ。仲間たちの証言は死刑逃れの策略だ。若い美人の母親なら減刑されると読んだのさ。実際に殺した人間を減刑にすれば、他の者も死刑にはできない」聞いていた新聞記者のモンゴメリは「推論に過ぎない」と異を唱える。彼は「バーバラ、クロ」を新聞で煽っていた▼「彼女は無実だ」パールバーグは断固退ける。「肉体的な暴力を嫌悪している。偽造、偽証、売春を犯す者に暴力犯罪はできない。それに彼女は左利きだ。だが証言者は彼女が右腕でナイフを突き刺したと証言した。僕は新しい証拠を探す、君は(ト弁護士に)法的な書類にしてくれ。君は(モンゴメリに)新聞の世論を変えてくれ」。バーバラに不運はつきまとった。病身をおして調査に当たっていたパールバーグが死んだのだ。マシューは諦めなかった。「連邦裁判所に手紙を出した。判事が検討中だ。彼に圧力をかけるのが一番だ」バーバラは「命乞いはいや!」一般社会への反感をあらわにして拒否する。新聞は「バーバラを救う最後の努力」を書き立てた。でも遅かった。サンクェンティン処刑室での執行までの描写が息苦しい。ガスを通す気圧計のチェック、黒電話がなり、執行は二度延期される。審議の間の數十分だ。三度目の黒電話は決定。亜硫酸の液体が無音で気化する。バーバラは「アイマスク」をつけてガス室にいる。「見物人を見たくない」からだ。執行室の周りはワイドショー並みの見学者だ。執行直前のバーバラにペグが小さな息子を抱いて会わせに来た。バーバラが投降するとき持っていたのは、息子に遊んでやっていたトラのぬいぐるみである。「子供を残して死刑になる気分はどう」と質問した女性記者には嫌悪しか覚えない▼バーバラは泣き言を言わなかった。姿勢も崩さなかった。「私が無実だと知っている唯一の人に会えるわ。殺されたモナハン夫人に」。マシュー弁護士に頼んだことは息子を養子にやらず、祖母の手元で育てさせてくれということだった。アイマスクをつけたバーバラの手を引く神父にささやいた「神父さん、殺してないわ」。全て終わった。弁護士はモンゴメリ宛のバーバラの手紙を渡す。「私はいつも裏切られてきました。ですが、あなたには心から感謝しています」。1958年、エリザベス・テイラーの「熱いトタン屋根の猫」、デボラ・カーの「旅路」シャーリー・マクレーンの「走り来る人々」など、並み居る強豪を抑えアカデミー賞主演女優賞受賞。感極まり「このまま死んでしまいたい」とインタビューで答えた。文句なしの受賞だった。

 

あなたにオススメ