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特集「ベストコレクション」

2020年2月15日

特集「春息吹く2月のベストコレクション」④ 
死の谷間(2018年 サスペンス映画)

監督 クレイグ・ゾベル

出演 マーゴット・ロビー/キウェテル・イジョフォー/クリス・パイン

シネマ365日 No.3118

水車は回る 

特集「春息吹く2月のベストコレクション」

登場人物三人、核戦争で地球は壊滅され、奇跡的に汚染を免れた谷間に生き残ったのは農家の娘アン(マーゴット・ロビー)。村の他の人間、彼女の弟たちは、生存者を探しに行くと言って出て行ったきり二度と戻らなかった。世界でたった一人、と思っていたアンはワゴンを引いて旅してきた男ジョン(キウェテル・イジョフォー)と出会う。ジョンは防護服を脱ぎ川に飛び込んで水浴び。その川は汚染されている! アンが救出する。放射能で体調を崩し、寝込んだジョンをアンは甲斐甲斐しく看病する。このあたりからジョンの行動の全てに「タイミングの悪さ」が付きまといます。彼は軍事施設の科学者で、油圧ポンプやトラクターを修理してくれ、アンの作業の負担は軽減される。二人の仲は接近し、アンは求めるが「もっと時間をかけて理解し合おう」とジョンは制する。二人きりだし、時間は有り余るほどある、とジョンは思ったのでしょうが、この逸失機会が最後まで尾を引きます▼やがてもう一人白人のイケメン、ケイレブ(クリス・パイン)が出現。ジョンは格好つけて「俺のことはいいよ、君とケイレブは白人同士で問題ない」と寛大にいう。アンは聞き流していたが、ケイレブはアンの(教会を壊したくない)気持ちをよく理解した。アンの父は牧師で、いつも教会で村人に説教していた。父の教えを受けたアンは信仰心厚く、ケイレブも同じだった。しかし水車を作って電気を作れば電気が通じる、冷蔵庫も稼働する、食料は保存できて冬も飢えに苦しまずにすむ、灯りも灯るといいことづくし。アンは水車の資材に教会の解体を承知する。アンとケイレブは接近する。ジョンは横目で見ている。水車の落成の前夜、前祝に乾杯しよう、となった。ケイレブに惹かれるアンの動揺を感じたジョンは「愛している」とアンにつげ、その気になったアンがベッドに行くとジョンはワインの飲み過ぎで高いびき。「ねえ、ジョン、ジョン」アンは揺さぶるが気づきもしない。どこまでドジなのこのおじさん▼諦めたアンにシャワーの音。ケイレブが見事な裸体を洗っている。で、二人はなるようになるわけね。翌朝いよいよ水車の取り付けだ。崖から流れ落ちる滝を受けて水車は勢いよく回り始めた。崖下で作業していたケイレブと崖上のジョンは喜びの合図を交換し、ケイレブが命綱を伝って登ってきた。何度か足を滑らす彼をジョンはしっかり引っ張っていたが、手と手がつながる距離まで来て、ジョンの動作が止まった。やがてジョンが帰ってきた。アンは敬けんな面持ちで話しかける。「昨夜のこと、許して、ジョン。私はどうかしていた」返ってきた答えは「彼はいないよ」「!」「出て行った。アンソンへ(彼が行きたいと言っていた南の村)。防護服を着て。君に感謝していた」そんなバカな。アンは探しに走るがケイレブの影も形もない。ジョンが絶好の機会と見て、ケイレブの手を離したのかどうかはわからない、確実なことはただひとつ、最強のライバルは消えたことだ▼ジョンとアンはどうなるのか。アンはジョンへの疑いが消えない。世界でたった二人生き残った人類だ。一緒に暮らし、子供もできるだろう。疑惑は水に流し力を合わせて生きて行く? 答えは観客に任せる式です。ジョンが最初からアンとの関係を固めておけば、アンはケイレブにフラッとならず、ケイレブは予定通り南に向かって出発し、事件にも殺人にもならなかったのよ。「時間をかけて」とか「僕のことは気にせずに」とか、悠長にカッコつけているうちに全てのタイミングを逸してしまった。しかもアンがベッドに来たのに前後不覚。いくら二人だけになっても、またとんでもないことやりそうな気がするわ。アンの失望と疑念、暗い横顔をよそに、水車だけが晴れ晴れと歌うように回っている。

 

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