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特集「B級映画に愛をこめて」

2020年2月21日

特集「B級映画に愛を込めて13」① 
MONSTER モンスター(2014年 劇場未公開)

監督 ニック・ゴメス

出演 クリスティーナ・リッチ/クレア・デュバル

シネマ365日 No.3124

C・リッチ健在 

特集「B級映画に愛を込めて13」

何度か映画化された未解決の「リジー・ボーデン事件」です。アメリカのフォールリバーに住むボーデン家は厳格な父アンドリューと継母アビー、長女エマ(クレア・デュバル)に次女リジー(クリスティーナ・リッチ)。リジーと継母を毛嫌いし継母もリジーが嫌いだ。エマが友人の出産の手伝いで家を開ける。ボーデン夫妻とメイドのブリジットが家に残った。最初にカウチで昼寝をしていた父親の惨殺死体をリジーが発見した。警察が来て母親は、と訊くと「二階にいる」。二階の寝室で継母も惨殺されていた。侵入者の形跡はなくリジーが容疑者となる。一挙に結論ですが、厳しい検察の尋問にリジーは耐え、証拠不十分で無罪を勝ち取る。両親の頭を斧で何度も打ち砕いた凶悪犯として町中はリジーを村八分にするが、本人は冷静で、姉と新しい家に引っ越すつもりだ▼すっかり有名になった筋立てですから、ストーリーよりもクリスティーナ・リッチとクレア・デュバルが中心人物の姉妹をどう演じるかが見どころになります。本作の時リッチは34歳でした。シャーリーズ・セロンと共演した「モンスター」は23歳。それから結婚もし、子供も生まれ、すっかり落ち着き、綺麗になっていてよかったです。クレア・デュバルは名脇役として評価が定着した演技派です。彼女は妹が常軌を逸することを知っている。異常な母親嫌いは、彼女に父親を取られた憎しみと嫉妬から来ている。彼女は犯人が妹にちがいないと確信するが、「私だけはあなたの味方よ」という言葉にも偽りはない。リジーも姉は自分を疑っている、と知っている。姉妹はテレパシーのようにお互いの心の中を感じ合うのだ。姉はリジーに恐怖を覚える。十数回も斧を打ち下ろして頭蓋骨を砕くのである。普通の神経ではない。彼女は寝室に鍵をかけて寝るようになります▼リッチが冷たく不気味です。検事の厳しい追及に、度々土俵際に追い詰められるが、ある時は怯え、ある時は落ち着き、検事に反抗の素振りさえ見せない。返り血を一滴も浴びず酸鼻を極めた殺傷ができるはずがない。現場に警官が到着するまでのわずかな時間に証拠隠滅は難しい。姉は妹が継母を敬愛していたと有利な証言で疑いをそらします。自分への疑いを解かない姉に妹はまるで楽しむようにひそひそと真相を打ち明ける。全裸で殺したから返り血などつくはずがなかったと。姉は恐怖で引きつり、荷物をまとめて家を転げ出る。姉妹はそれきり二度と会うことはなかった。リジーは裕福な生活を送りガールフレンドもえたらしい。本作で物足りなかったのはメイド、マリアの立場です。彼女は事件当日窓を拭くようにアビーに言われ、はしごを登って二階の窓を拭いていた。当然何か見えたはずだが、何も触れない。いや警察に行って「お話したいことが」と切り出しているが、具体的には不明だ。リジーは彼女の存在が危険だと察知して、事件後早々に暇を出した▼クロエ・セヴィニーがリジー、クリステン・スチュワートがブリジットで映画化された「リジー」は、彼女らが恋愛関係にあったと大胆に設定し、解釈をほりさげました。そういう重い人物だったかもしれない女性にしては、本作の扱いはあっさりしすぎていました。いくつか物足りない点はあるのですが、リッチは「アダムス・ファミリー」のウェンズデーの時11歳でした。厳しい業界をよく生き抜き、「耳に残るは君の歌声」ではケイト・ブランシェットと、「アイス・ストーム」ではアン・リー監督と、チャレンジを重ね、このたび妖気ただよう殺人嗜好者で健在を示したことに一票。

 

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