女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「異形の美術館」

2020年3月13日

特集「異形の美術館2」③ 
ミディアン(1990年 ホラー・ファンタジー映画)

監督 クライム・バーカー

出演 クレイグ・シェーファニー/アン・ホビー/デヴィッド・クローネンバーグ

シネマ365日 No.3145

偉大なる種族 

特集「異形の美術館2」

堪能します。登場するビジュアルがいい。物語に背骨と洞察力がある。日本の「妖怪大戦争」も傑作だったけど、本作にある「夜の種族」には、常人とは異なる形象と能力を備えたために、社会から疎外され、墓場の地下コロニーで生きながらえてきた異能者たちの悲劇があります。映画は絶叫から始まります。ブーン(クレイグ・シェーファニー)は毎夜「ミディアン」という架空の街の悪夢にうなされる。医師デッカー(デヴィッド・クローネンバーグ)は「ミディアン」は架空ではなく実在するという。折しも街では10ヶ月のうちに6つの家族が殺される、猟奇的な連続殺人事件が起こり、警察は犯人が精神異常者だとみなし捜査していた▼トラックにはねられながら奇跡的に助かったブーンは病院で、ミディアムがどこにあるか知っているという気色の悪い男に会った。男は「リースリバーの東」という位置を告げ「君は救世主だ。俺も連れて行ってくれ」と頼む。ブーンが断ると目の前で自分の顔と頭の皮を剥ぎズルむけにする。病院の混乱に乗じてブーンは車を走らせて着いた目的地は巨大な墓場だった。眠り込んで目をさますと、夜になっていた。巨大な頭の男、赤い顔の獣人が「こいつは人間だ。エサだ」と襲いかかった。ブーンが墓の外に逃げると、デッカー博士が警官隊とともに待ち受け、ブーンは蜂の巣にされる。ブーンの恋人ローリー(アン・ホビー)は遺体確認にきて悲しみに落ち込むが、ブーンの遺体は不思議な力で蘇生し、本能の命じるままミディアンに向かった。ミディアンとは夜の種族。空を飛ぶ、狼や煙に変身する、全身ハリネズミのような変異種、地下コロニーにはサソリ、ヘビ、ありとあらゆる危険で醜怪な怪物がひしめいていた。ブーンを探して地下コロニーにたどり着いたローリーはブーンが同じ種族に属し、何度でも蘇生する特殊能力の持ち主であることを告げられる。「夜の種族」は人間には受け入れられなかった外観と能力のため、駆逐された。世間は彼らを魔物、怪物、妖怪、魔女として差別し、磔刑、火あぶり、打ち首、あらゆる拷問を課し迫害した▼連続殺人犯はデッカーだった。彼は自称「死に神」であり、この世にブーンのような「死なない」永遠の生命を持つ存在など許し難い。彼は一連の犯罪の犯人をブーンとし、人間の能力を超えた集団であるミディアン壊滅を目論む狂人だ▼警官隊の隊長は組織画一志向の塊。少しでもはみ出す者は排除する独裁者であり、ミディアン総攻撃の先鋒となる。猛攻を受けた地下コロニー。種族の長、バホメットは籠城戦を取るがブーンは反対、隠れているだけではやっつけられる、撃って出よう。武器は? 「バーカーサーを解放しろ」。バーカーサーとは、手当たり次第殺戮する凶暴性のため、檻に閉じ込められていた怪物だ。バーカーサーの群れが警官隊と激突。警官隊は地上の墓場もろとも地下コロニーを爆破する。バホメットから一族の未来を託されたブーンは、生き残ったグループと命からがら脱出し、再び安住の地を求めてローリーと旅に出る。ローリーに娘を助けられた母親レイチェルがわかりやすくミディアンについてまとめています。「ここは偉大なる種族の最後の砦。私たちは姿を変えられる怪物よ。人間は私たちを妬み絶滅寸前に追いやったの。私たちは不死ではない、日光に当たれば死ぬ者も撃たれたら死ぬ者もいる。それでも死を超越した者がいる。永遠の闇で生きることは悪いことじゃない。私たちをモンスターと呼ぶあなたたちも、永遠の生命を夢み、変身能力を望んでいるはず。自分達と姿形が異なっているという理由、自分達より特異な能力を持っているという理由で、私たちを妬みの対象とし、破滅させたがった」。「アリス・イン・ワンダーランド」の住人たち、「ミス・ペレグリンと奇妙な仲間たち」も、異能者ゆえに時間軸の外で生きていました。「夜の種族」への迫害には現在まで続く、支配と制度による少数派差別の根源があります。メークアップ・アーティストの驚異的な「異形の形象」の出演者たちが、人間の暗黒の背景を浮き上がらせたことに感嘆しました。デヴィッド・クローネンバーグはデッカー博士のオファを二つ返事で引き受け、腕まくりして取り組んでいます。

 

あなたにオススメ