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特集「怖いものみたさ」

2020年3月21日

特集「怖いもの見たさ2」④ 
オーヴァーロード(2019年 ホラー映画)

監督 ジュリアス・エイヴァリー

出演 ワイアット・ラッセル/マチルド・オリヴィエ

シネマ365日 No.3153

千年生きる兵士を 

031821怖いもの見たさ2

第二次世界大戦末期、1944年6月、ノルマンディー上陸作戦前夜が舞台。連合軍の通信を妨害する電波塔を破壊する任務を帯びた第101空挺団がドイツ占領下のフランスに。空と地上の激しい攻撃を受け兵士たちは散り散りになる。フォード伍長とボイス二等兵が電波等のある教会に向かう。森の中でクロエ(マチルド・オリヴィエ)という村の娘と出会い、道案内をさせる。クロエの家には8歳の弟と重病人だという叔母がいた。兵士たちはクロエの家に匿われた。奇妙なうめき声にボイスがドアの隙間から覗くと、いきなり黒くデコボコに歪んだ顔が現れた。叔母は教会に連れて行かれた後おかしくなったとクロエが話す。教会に何がある? いわゆるゾンビ映画かと思うと(そういう部分もありますが)、ナチが「千年帝国」実現のために「千年生きる兵士」を人体実験によってつくろうとしていたというお話。今時の「100歳時代」など足蹴にしたトンデモ発想であります▼「ナチもの」にせよ「ヒトラーもの」にせよ、ほとんどの証拠や文献、建造物は破棄・破壊されており、アウシュビッツ収容所の全貌さえ、1963年のフランクフルト裁判で大量虐殺の一部が浮かび上がったという徹底ぶりでした。だからどうこしらえても「作ったもの勝ち」になるのは否めません。それに所詮、勝者から見た敗者の捉え方ではないかという疑問が抜けきらず、だから全ての「ナチもの」は半信半疑が底にあり、本作にしても(こんないい加減なでまかせを)と思っていたのですが、つい畳み込みのうまさに引きずられた。適度なグロシーン、ゴアな実験の一端(首だけで生かされている女性とか)、袋に入って天井からぶら下がっている何体もの、黒い液体にうごめく被験体。叔母の顔面の異相。不死の肉体にするための血清を注射すると、骨は強く太くなりすぎて皮膚を破り、筋肉は盛り上がり血管がミミズのように走行する。被弾しても顔が半分吹っ飛んでも、内臓が飛び出しても、鋼鉄のドアは拳でぶち破り、走るスピードは獣のよう。まさしく人工兵器なのだ。しかるに血清は実験段階で、脳の働きは制御できない▼フォード伍長(ワイアット・カッセル)はモンスター化した敵の大尉と死力を尽くして戦い、自分も教会も、もろとも爆破して電波塔破壊の任務を遂行しろとボイスに命令、壮絶な最期を遂げます。クロエは両親がナチに殺され叔母は実験の犠牲、幼い弟まで拉致され、救出と復讐の一念で立ち向かう。彼女ってもともと村の少女でしょ。銃撃戦では一発必中、火炎放射器を抱え追跡者を焼き殺す…いつミラ・ジョヴォヴィッチになった? ワイアット・ラッセルはカート・ラッセル(「シルクウッド」「ヘイトフル・エイト」)の息子、母親は「サボテンの花」「バンガー・シスターズ」などのゴールディ・ホーン。剛直な兵士のリーダーを好演しました。

 

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