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特集「怖いものみたさ」

2020年3月22日

特集「怖いもの見たさ2」⑤ 
ソウ saw(2004年 ホラー映画)

監督 ジェームズ・ワン

出演 ケイリー・エルウィス/リー・ワネル/トビン・ベル

シネマ365日 No.3154

闇世界の仕掛け人 

怖いもの見たさ2

ジェームズ・ワン監督の長編デビュー作にしてソリッド・シチュエーション・スリラーの名作。今観ても飽きさせません。ジェームズ・ワンという人、小説家でいえば短編の名手だと思えます。肌理細かいエピソードの積み重ねが、次のシチュエーションに連結する。意表をつく状況設定が、唐突に書き出される小説の1ページ目にあたる。登場する当事者たちはなぜ自分がここにいるかもわからない。二人の男性が密室で対角線上に鎖で繋がれ、部屋の中央には死体。充分エキサイティングな語り口です。主人公は外科医のロレンス(ケイリー・エルウィス)と、写真家のアダム(リー・ワネル)。同じ頃ジグソウ・キラーと呼ばれる犯罪が世間を騒がせていた。ジグソウは生きていることに感謝しない人物、自分の命をおろそかにする人物にゲームを仕掛け、助かったら解放、ドジ踏めば命はない、という状況に置きます▼犯人ジグソウはロレンスが病院でガン告知した患者ジョン(トビン・ベル)です。彼いうには「自分の体はガンに侵されている。他人の苦痛を笑い、命あることに感謝を忘れた奴に怒りを感じる」のです。それゆえ選ばれたのは麻薬中毒の女性、自傷癖のある中年男性、放火魔、完璧な健康体なのに自殺未遂する男たち。ロレンスは妻子がありながら浮気に走っている。アダムは盗撮兼ストーカー男。唯一生還したのは麻薬中毒のアマンダだった。時間がきたらセッティングしたヘッドギアが上下の顎を引き裂くという仕掛けが施された。ギアを外す鍵は「ほれ、あの死体の胃袋にある」。死体ではなく微量の麻薬で痛みを感じなくなった男が横たわっている。アマンダは用意してあった小刀を腹にズブッ。血を滴らせて鍵を取り出す。白い仮面(頬の部分に赤い螺旋模様が描いてある)ジグソウ人形が三輪車に乗って近づき「おめでとう」と祝福し解放。彼女は生きることの感謝に気づき麻薬中毒から脱却する▼ジグソウを追う刑事二人。一人は罠にかかって死に、もう一人のタップ刑事は喉に傷を負う。彼はロレンスが犯人だと睨み、証拠をつかむためアダムを雇い写真を盗撮させていた。ロレンスの妻も娘も人質になる。何となれば午後6時までにロレンスがアダムを殺さなければジグソウが妻子を殺すのだ。ロレンスは(アダムもだが)足首をつなぐ太く重い鎖ではなく、足首を切って脱出しようとする。アダムとの間に奇妙な共同戦線が生まれ、ロレンスは「きっと戻ってくる。こなければ俺は失血死だ」と言って這いながら出て行く。妻子を殺す役はロレンスの病院の雑役係ザップだった。彼もジグソウに操られていた。一体ジグソウとはどこの誰。その時中央の死体がムクムクと起き上がる。血糊のマスクを取った下から現れたのはガン患者ジョンだ。鎖の鍵はバスの中だとジグソウはアダムに教えて出て行くが、鍵はバスの水とともに下水に流れていた…本作は結局シリーズ8作に及びましたが、やっぱり第一作が最もテンションが高かった▼ワン監督は「死霊館」シリーズでも恐怖を煽るのに武器や暴力(悪霊も暴力の一種ではありますが)より、人物相互の心理的な切迫感、イマジネーションが描く内面の恐怖感で盛り上げています。同じ監督作品に「アクアマン」があります。大胆な撮影技術と華麗な映像、大物俳優の起用で大ヒットでしたが、ジェームズ・ワン独特の闇世界の仕掛け、最後の最後までこだわった心理的騙しのテクニックには程遠かったように思います。公開から16年、時間がたてばたつほど、独自性を主張する稀有な一作です。

 

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