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特集「怖いものみたさ」

2020年3月24日

特集「怖いもの見たさ2」⑦ 
デッド・サイレンス(2008年 ホラー映画)

監督 ジェームズ・ワン

出演 ライアン・クワンテン/アンバー・ヴァレッタ

シネマ365日 No.3156

なぜこうも人形好き? 

怖いもの見たさ2

ジェイミー(ライアン・クワンテン)と妻リサの元に送り主不明の腹話術人形が送られた。リサはこんな言い伝えがあると、腹話術師メアリー・ショウの幽霊の話をする。「メアリー・ショウにご用心、子のない彼女は人形が好き、そして最後に怖い人形が襲ってくる」その夜、ジェイミーが外出中、妻は何者かに襲われ口を裂かれ、舌をちぎられた惨殺死体となって発見された。夫のジェイミーが疑われた。彼の育った町では腹話術人形は不吉で災いをもたらすとされていた。人形の箱には「レイブンズ・フェアのメアリー・ショウとビリー」と書かれてあった。レイブンズ・フェアは彼の故郷だ。ジェイミーは生まれ故郷に車を走らせた。父や義母エラ(アンバー・ヴァレッタ)、葬儀屋ヘンリーらの話から、その昔、舌を切られて殺された腹話術師メアリー・ショウの呪いを聞かされる▼当時絶大な人気を誇ったメアリーが、リンチ同様の死に方をしたのは、上演中、一人の少年マイケルがインチキだと発言し、メアリーが怒った、直後少年は行方不明となり、メアリーの仕業だと決めた町の人々は彼女の舌を切り、死なせてしまった。以後不吉な出来事が起こり町はすっかり寂れ今やゴーストタウンだ。マイケルとはジェイミーの大叔父だった。父は息子に厄災が降り懸からぬよう町を離れさせたが、妻の死が彼を手繰り寄せた。やがてメアリー・ショウの霊は彼女が作った100体の人形とともに甦り、調査に当たった刑事、葬儀屋らが次々殺される。でもなぜリサが狙われた? 姿を現した恐ろしい形相のメアリー・ショウは「リサのお腹に子供が、マイケルの血筋だ」と教える。ジェイミーは父親の家に駆けつけ、洗いざらい過去のプロセスを聞こうとするが、その父は義母が腹話術で操る人形だった。メアリー・ショウはエラに憑依していたのだ。叫んだら殺される、その禁忌を破って思わずジェイミーは叫ぶ。たちまち喉から舌は引き抜かれ、マイケル一門の血は途絶えメアリー・ショウは復讐を完成させた…▼簡単に言うとそんな筋書きなのですが、いちばん恐れ入ったのは、ジェームズ・ワン監督ってなんでこう人形が好きなの? 「ソウ saw」のジグソウ人形といい、「死霊館」シリーズの大ヒロイン、アナベルといい、人形なしに夜も日も明けぬ。魅惑の人形作家にはすごいアーティストが何人もいます。マリオ・Aやハンス・ベルメール、蝋人形作りのマダム・タッソーら。でもワンの映画の人形って、不気味だけど、ベルメールの殺人現場のような索漠感はない、マダム・タッソーのような血の匂いもしない、マリオ・Aのエロティシズムともちょっと違う。ジグソウはホッペタに赤い螺旋系の模様が描かれ、アナベルは見るからにイケズそのものだ。本作のビリーは頭の生え際が後退したおじさんで、ギョロ目に薄ら笑いを浮かべ、ちょっと見には変態チック。「どないしてオモロイもん、作ったろか」と大阪弁で言うのがピッタリの製作ポリシーみたいに思えるのよ。彼の本質は「お化け屋敷フェチ」です。どう怖がらせたらいいか、脳を大車輪させて作り上げる。冒頭の導入部は夜、雨、雷鳴、半開きのドアから漏れる室内の明かり、ベッドに白いシーツを被った遺体。律儀なまでにホラーの定番を映します。彼はクラシカルなホラー作りが好きなのです。極力CGを廃し、手触りにこだわる。ドッキリのコアをなすのが、メークアップ・ディレクターが監督の細かい注文を受け、ねじり鉢巻きでこしらえたメアリー・ショウのメークです。演じたのはジュディス・ロバーツ。ブロードウェイの舞台女優で、何人オーディションしても納得いかなかったワン監督が一目惚れした女優。一回のシーンに4・5時間かけてこしらえるメークに耐えました。本作はワン監督の作品の中では低評価の部類ですが、以後に続くスピリチャル系ホラーのヒット「死霊館」の導線につながっています。

 

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