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特集「ザ・クラシックス」

2020年3月26日

特集「ザ・クラシックス8」② 
夜と霧(下)(1961年 ドキュメンタリー映画)

監督 アラン・レネ

シネマ365日 No.3158

廃墟の下に死んだ怪物 

特集「ザ・クラシックス8」

「この塀の中で銃殺が行われた。闇に紛れて出発するトラック。人々は抵抗する。肉体は果てても心は生きる。彼らは創造を忘れない。怪獣の作り物、箱、記憶と夢を神に話すメモを残した。仲間を守りわずかな食料を分け与える。最期は苦悩に満ちて運ばれる医務室。本物のベッドで眠れると期待するが待つのは死の注射だ。包帯は紙でできており、どの傷にも同じ薬を塗る。患者は包帯まで食べていた。外科病棟。親衛隊の医者に怪しい看護婦。何をするのか。無意味な切開や手足の切断実験だ。化学工場が毒物を送り込む。あるいは囚人を買い取る。生存者はわずか。去勢され燐で焼かれ、傷は生涯消えない。収容所に到着時、身分証を取り上げ保管した。22カ国の何万人もの名簿。死者に赤線を引きリストから外す。カポ(刑事)は個室に“お気に入り”を迎える。売春宿もあった。売春婦の女囚は食料が豊富だ。何人かの仲間にパンを分け与えた。病院、娼館、住宅、監獄まで収容所にあった。監獄は恐ろしい。狭い独房に閉じ込められ執拗に拷問を受ける」▼1943年ヒトラーが視察。「生産的に処分」するよう指示した。処分棟の施工は囚人が担当した。全ヨーロッパから収容者を運ぶトラックが、列車が到着した。次は選別だ。生き残った者は強制労働。皆殺しにされる寸前の写真がある。深く掘った穴の中にしゃがむか、土の方を向いて並ぶのだ。「ガス室も外部は普通だ。内部には見せかけのシャワー。天井に残る掻き傷の痕を見逃してはいけない」「火葬場が不足する。山のようなメガネ、山盛りに盛られた女性の髪、それで作られた毛布、骨は肥料に使ってみる。死体は? 首と胴体を離す。脂肪で石けんを作ろうとし、皮膚はランプシェードになった。1945年収容所は拡大し人口10万人の都市となった。この新都市の経済力をもってしても敗戦だった。火葬する石炭がない。死体の山が道路をふさぐ。連合軍が到着した。ローラーで死体を穴に埋める。解放である。囚人は解放されたのか。社会復帰は可能か。カポも将校も言う。命令に従っただけ。では責任は誰に?」▼ラストのモノローグを聴きたい。「火葬場は廃墟に、ナチは過去となる。だが900万の霊がさまよう。我々の中の誰が戦争を警戒し、知らせるのか。次の戦争を防げるのか。今もカポが、将校が、密告者が通りにいる。廃墟の下に死んだ怪物を見つめる我々は、遠ざかる映像の前で、希望が回復したふりをする。ある日、ある時期における特別な話と言い聞かせ、消えやらぬ悲鳴に耳をかさぬ我々がいる」

 

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