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特集「見えない」

2020年4月7日

特集「見えない」⑦ 
見えない目撃者(2019年 サスペンス映画)

監督 森淳一

出演 吉岡里帆/高杉真宙/大倉孝二/田口トモロヲ/浅香航大

シネマ365日 No.3170

猟奇連続殺人の儀式 

特集「見えない」

これ「ターミネーター」と「羊たちの沈黙」のオマージュ? 刺されても撃たれても、ヒロイン浜中なつめ(吉岡里帆)を追い詰める犯人日下部(浅香航大)、ラストは目の見えないなつめが、犯人が踏んだキーホルダーの音をキャッチし胸を撃ち抜く。暗闇で勝負を決めた、もろクラリス・スターリングね。とまれ、最後まで高密度を維持した力作に敬意を。警察学校を優秀な成績で卒業したなつめは、自分の過失で弟を事故死させ自らは失明、警察官を辞めた。3年たった今も失意のどん底だ。ある夜車の接触事故に遭遇し、車中から助けを求める少女の声を捉える。誘拐事件の可能性があるとみて警察に連絡するが取り合ってもらえない。目撃者はもう一人いた。スケボーに乗った高校生の国崎春馬(高杉真宙)だ。彼は車に女性はいなかったと証言、なつめは彼を訪ね、問い詰めて車には帽子とマスクで変装した男がいたことを聞き出す▼女子高生4人の惨殺遺棄死体が発見される。鼻が削がれ、口がえぐられ、手首が切断、耳が切り取られていた。なつめは彼女らの共通点が、被害者は家出しても親から捜索願も出されない、厄介者扱いの女子たちだったとわかる。いなくなっても誰も探さない少女を殺せば事件は明るみに出ない、と犯人は考えた。犯人は補導歴から犠牲者を選んだに違いない。しかしそんなデータは一般人には手に入らない。木村刑事(田口トモロヲ)は愕然。犯人は警察官だ。なつめは耳・鼻・口・手の連想から「六根清浄」の儀式殺人の可能性があると判断、とすれば後2つ、視覚と意識が残っている。被害者はさらに2人出る。今はなつめの能力を信じる木村と吉野刑事(大倉孝二)が捜索を絞りこむ。15年前に同じ猟奇殺人が発生しており、犯人は逮捕されたが目撃者の少年が「異常だった。彼は犯人が猟奇行為に及ぶ一部始終をビデオに撮っていた」と当時の担当刑事は振り返り「その少年は警官になって君の署にいるよ」と木村に言った。日下部刑事(浅香航大)だった。彼は死体が見たいから警官になったというサイコ男でした▼ここからラストまで怒涛のターミネーターモード。目の見えないなつめがスマホの音声ナビだけで走るのもそう違和感なくお見事。春馬君も頑張ります。日下部にナイフでブスッとやられますが、足にしがみついて「いけ、行くんだ」となつめを逃すあっぱれな男気。木村刑事と吉野刑事は殉職しました。なつめの盲導犬ハルはなつめをかばって勇敢にサイコ男に向かいます。ナイフ一閃、深手を負いましたが手当てを受け回復し、なつめの傍を寄り添って歩く姿にホッ。春馬君は「俺、警察官になろうかな。だめだろね」と照れるが「大丈夫、必ずなれる」となつめは明るく励ます。過去を乗り越えたなつめを示唆して映画はエンド。最後に事故の原因について。弟が足元に落ちたキーホルダーを拾ってくれ、助手席からは手が届かないから、と姉に言う。「だめだよ、もっと深く屈まないと」。なつめが手を伸ばして視界から目を離したことで車はトラックに衝突した。警察官にあるまじき過失だとなつめは自分を責めますが、まあ、そうでしょうね。少なくとも路肩に寄せて一旦停止するべきだった。その慚愧が後の復活につながるのだから、弟も浮かばれるでしょう。4人の惨殺死体が、ゴミ収集場に積み上がった山のような白いビニール袋の下から発見される現場は、かなりグロかったけど、それも一つ一つのピースに手抜きがない、と感じさせました。

 

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