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特集「ベストコレクション」

2020年4月11日

特集「スピカは昇る、初夏の星座のベストコレクション」② 
シンク・オア・スイム(中)(2019年 事実に基づく映画)

監督 ジル・ルルーシュ

出演 マチュー・アマルリック/ギョーム・カネ/ジャン=ユーグ・アングラード/ヴィルジニー・エフィラ

シネマ365日 No.3174

望む心さえあれば 

特集「スピカは昇る、春の星座のベストコレクション」

ティティがデルフィーヌを見舞いにきた。部屋の外から声をかけたが応答はない。「聞こえているかどうかわからないけど、言うよ。君の友達がコーチしてくれている。僕らはみんなクズだって。でも他も同程度のものだと。マルキュスはクソ女だというが、僕の見るところ彼女はシャイなのかも」。メンバーはスネに傷を持っている。ロランの母親は介護施設にいる。ロランが訪問した。「お前はいつもひどい顔ね。なんて醜いのだろう。エゴイストのクソ野郎よ。虫ケラみたい。腐ったゴミだよ」ロランは子供の頃から母の言葉の虐待を受けてきた。ベルトランは家では子供にバカにされる。息子が「死にたい」というと「普通だよ。ニキビのせいだろ」「パパは嫌いだ」「それも普通だ」とニヒルなのである。情熱が湧かない人生。でも一旦プールに来ると…「ロクデナシのメタボども。土台役も知らないのか。土台なしではリフトも世界選手権もない。今日から息を止め続けろ」問答無用のアマンダのムチが飛んだ▼ユニフォームを揃えたいと、マルキュスは「キツネ計画」を考えついた。早く言えば万引きだ。もちろんホームセンターの管理員に警察に突き出される。ティエリーが身銭を切って代金を払う。シモンの作曲した音楽はメンバーの「誰も拍手しなかった」娘は「拍手しない方が正しいのかも」激辛意見を浴びせる。トレーニングは日に日に激しくなった。練習後のサウナでは息も絶え絶えになったおじさんたちが「彼女が憎い」「大嫌いだ」「殺したい」「罠を掘って落としたらどうだろう」。練習がきつすぎると一言口にすると「うまくなってから言え!」。ティエリーがデルフィーヌに相談に行った「マルキュスが車椅子のネジを抜こうとした。このままじゃチームは空中分解だ」。デルフィーヌがプールに姿を現し、おじさんたちに「若き詩人への手紙」(リルケ)を読んで聞かせた。何が効いたのか知らないが、おじさんたちは息を吹き返した。デルフィーヌとアマンダ。かつての栄光のコンビは手を握り、世界選手権に向け総仕上げにかかる▼家族には家族の思いがあった。ベルトランの妻クレアはシンクロなど狂気の沙汰だと、姉から散々夫の噂を聞かされる。「姉さんは良妻賢母で一見完璧だけど、自分の夫が何をしているか知らない。彼は手錠と革のビキニとムチが好きでオシッコひっかけられると喜ぶともっぱらの噂よ。私は夫が噂されても気にしない。ありのままを隠す必要もない。何をしてもいいわ。波風はあるけど私は相手を否定しない」。ロランの息子は「家でインターネットを見て応援するよ」と父親を励ます。デルフィーヌとアマンダとローラは、会場の各国代表を見て「体つきからして、ちがう」不安におののく。でも彼らは力強く、見事なチームワークで演技をやり切った。万雷の拍手が鳴り止まない。帰路、彼らのバスは夜明けの海辺に差し掛かった。止めてくれとベルトランが頼み、みなぞろぞろと外へ出た。昇る太陽。一人が叫ぶ。イェーッ。お土産は金メダルだぜ▼最高のベタ映画です。ベルトランのモノローグで締めくくろう「彼らは一時、国民的英雄になる夢を見た。幻想に終わるだろう。誰の手本にもならない話だ。でも一つだけこの物語は証明した。望む心さえあれば、丸は四角の中に入り、四角は丸の中に入る。ありえないと思っていたことが起こる」

 

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