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特集「ベストコレクション」

2020年4月12日

特集「スピカは昇る、初夏の星座のベストコレクション」③ 
シンク・オア・スイム(下)(2019年 事実に基づく映画)

監督 ジル・ルルーシュ

出演 マチュー・アマルリック/ギョーム・カネ/ジャン=ユーグ・アングラード/ヴィルジニー・エフィラ

シネマ365日 No.3175

ギフテッドたち

特集「スピカは昇る、春の星座のベストコレクション」

ストーリーには直接関係ありませんが、出演者、監督、製作陣がユニークです。どこが、というと主役級のマチュー・アマルリック、ギョーム・カネ、ジャン=ユーグ・アングラードは三人とも監督でもあり、いい映画を撮り、優れた俳優でもあります。監督のジル・ルルーシュが監督も脚本もやり、俳優も、という多面体の人であることを考えると、誰が本作の監督をやってもおかしくなかったような気がします▼マチュー・アマルリックは「さすらいの女神たち」でカンヌ国際映画祭監督賞、「青の寝室」ではサスペンス、最近作「セーヌの黒いバラ」では、伝説の歌姫をヒロインに、監督・脚本・出演を兼任して主演女優ジャンヌ・バリバールムにセザール賞主演女優賞をもたらしました。出演作は多数ありますが「クリスマス・ストーリー」が面白かった。カトリーヌ・ドヌーブの息子に扮しました。トラブル・メーカーで、女にもお金にもだらしない。なのに、母親は蕩児を愛している。夫より息子より母親が好きという、ちょっと困った娘は弟が大嫌い。母親が骨髄移植せねば助からない。適合するのは自分の息子か弟だ。弟の骨髄など移植して劣悪な人間になったらどうすると、姉は猛反対する。母親はまだ幼い孫より成人である息子からの移植を選ぶ。姉の激怒に弟は怒りの倍返し。スクリーンは白熱していました▼ギョーム・カネは「唇を閉ざせ」「君のいないサマーデイズ」「マイ・ブラザー哀しみの銃弾」を監督。「唇を…」でセザール賞監督賞受賞。サスペンスの佳品です。出演作に「戦場のアリア」「セザンヌと過ごした時間」などがあります。結婚した相手はダイアン・クルーガー(のちに離婚)、2007年からマリオン・コティヤールと交際し2011年長男を得た。ダイアンといい、マリオンといい、とびきりの女優が惚れる男なのであります。本作では何にでも突っかかり、人の話に必ずイチャモンをつけ、嫌味を言い、とうとう妻は家を出たという、社会不適合の男を演じます。息子だけは父親の味方で、男子シンクロ世界選手権出場する父親を応援します。母親のトラウマを引きずり、女性に心を開けない中年男と息子の通い合いがジ〜ンとさせました▼ジャン=ユーグ・アングラード。日本ではおなじみかと思います。純愛と哀切の「ベティ・ブルー」の青年作家は31歳の時。「ニキータ」では35歳。初監督作品「裸足のトンカ」は42歳、アンジェリーナ・ジョリーと共演した「テイキング・ライブス49歳。それぞれ年齢は異なりますがみな、サイケティックな女性と組む男子でありました。本作では63歳。才能に見放された車上暮らしのシンガー・ソング・ライターです。娘は父親を負け犬だと思っている。彼の作曲した曲をケチョンケチョン。でも自分を溺愛する父親に、人生の才能とは人を愛せることだと気づく。世に出ない男かもしれないが、くさりもせず、ヤケにもならず、ひょうひょうとシンクロ・チームに参加する、心やさしい初老の父親をアングラードはナチュラルに演じています▼ことほどさように、本作はギフテッドたちの共演共作です。その気で見ればピッチリ隙のない、息のあった構成と出演者たちの個性に、なるほどと思い当たられるに違いありません。

 

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