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特集「ベストコレクション」

2020年4月13日

特集「スピカは昇る、初夏の星座のベストコレクション」④ 
最高の人生の見つけ方(上)(2019年 ヒューマン映画)

監督 犬童一心

出演 吉永小百合/天海祐希/ムロツヨシ/前川清

シネマ365日 No.3176

トップでないと認めない 

特集「スピカは昇る、春の星座のベストコレクション」

本作の小岩井宏悦エグゼクティブ・プロデューサーが、ワーナー・ブラザーズ本社から出された条件は「日本のトップ俳優でしか、リメイクさせない」。高倉健は亡くなっていたし、小岩井は最高に値する俳優に悩んだ。その時モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの役を女優に置き換えたらどうか、というアイデアがひらめいた。日本には吉永小百合がいる。映画の黄金時代を築いて女優業60年、トップに位置してきた絶対的アイコン。ワーナーは日本版企画を了解した。シナリオを読んで吉永が相手役に名を挙げたのが天海祐希だ。2001年公開の「千年の恋 ひかる源氏物語」で、二人は紫式部と光源氏を演じている。その時から気があい、いつか「テルマ&ルイーズ」のようなロードムービーを撮りたいね、と話していた。天海は即決した▼女優の顔そのものだった吉永が、撮影が始まった途端、うら悲しく老いた主婦・北原幸枝に一変していた。彼女は家庭を顧みないぐうたらな夫、引きこもりの息子、家を出て第一線で働く一人娘は家族や母に怨念に近い感情を持っている。幸枝はガン末期だとわかった。水に落ちた犬がもう一度水に突き落とされたようなものだ。ボロクズのように背を丸め誰もいない病室でうつむいていたら、孔雀のように艶やかに入室してきたのが剛田マ子(天海祐希)。客室数ナンバーワンを誇る女性ホテルオーナーだ。「どうして私が貧乏くさい大部屋で我慢しなきゃならないの」と秘書高田(ムロツヨシ)に怒鳴り、とはいうものの、最高級個室から移らねばならなくなった理由は、彼女が禁を無視して病室でプカプカ煙草を吸い、火災報知器が作動、9階全室が水浸しになったからだ。12歳の女の子が残した「死ぬまでにしたいこと」ノートが幸枝の手元にある。悲しいかな、今日まで家事と家族の世話に追われ、単調な繰り返しを続けてきた幸枝には「したいこと」すら、思い浮かばなかった▼ならば少女のノートに書いてあることをやってみよう。人生の最後に。相棒はマ子だ。ズケズケ人を人と思わない言い方をするがひとつも毒がない。この風通しのいい女は二つ返事で「乗るわ。私も」こうして人生末期の女二人が旅に出た。ロス上空のスカイダイビング、エジプトのピラミッド、京都に来て日本一大きいジャンボ・パフェを食べる。ボケの吉永にツッコミの天海。天海「いいわねえ、貧乏人は。お金さえあれば幸せになると思えるのだから。子供に何か遺す? 私の父は小4のとき借金作って逃げたわ。取り立て屋が叩くドアの音を一晩中、震えて聞いていたことがある? 公園の水を飲んで飢えをしのいだことは? 私は父親を恨み抜いてここまで来たのよ。だいたいジャンボ・パフェを食べるのに、京都まで来る必要ないでしょ。いくらでも東京にあるじゃない」しかし幸枝には計画があったのだ。京都の外れの老人施設に、マ子の父親が収容されていた。そこへ連れて行くことだった。「お父ちゃん」車椅子の父親の膝にすがって泣く天海祐希が、照れくさくなるほど、気合入りまくりでした。

 

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