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特集「ベストコレクション」

2020年4月14日

特集「スピカは昇る、初夏の星座のベストコレクション」⑤ 
最高の人生の見つけ方(下)(2019年 ヒューマン映画)

監督 犬童一心

出演 吉永小百合/天海祐希/ムロツヨシ/前川清

シネマ365日 No.3177

終活を「生き活」に 

特集「スピカは昇る、春の星座のベストコレクション」

一時退院で会社に戻ったマ子は、夫に離婚届を見せ、「あなたを副社長にしたのが間違いだった。会社は売却したわ。剛田ホテルの名前と指名した経営陣を残してくれる。あなたはウソつきだけど、それでもいいと思っていた。でも許せないウソもある。会社の金を勝手に使い損失は30億を超えている。知っていたのに言えなかったのが私の弱さね」「それだけ僕を愛していたのだ」聞こえなかったようにマ子続ける。「あなたを解任して刑事告訴します」。おお「離婚弁護士」再び。天海はコミカルな持ち味と切れ味のいいセリフで、仮面を付け替えるように一瞬で表情を変えます。幸枝を故郷長崎に連れて行き、念願のウェディングドレスを着せ、教会には夫と娘を呼び、結婚式をやり直させるプランを作ったのもマ子でした▼そのマ子が先に旅立った。秘書高田が遺言書を読む。「最後にはペンを持つ力がありませんでしたから僕が口述筆記しました」。「幸枝さん、どんなに稼いでもお金は墓まで持っていけないというけど、ホントねえ。私には子供もいなく、家族もいなかったけど、会社という子供が残ったわ。それで充分。嬉しかったのは人生の最後にあなたに会えたこと。私、自分に自信がなかったから頑張って価値ある人間にならなければと、上ばかり見てきた。あなたは私に一日一日を愛おしんで生きる大切さを教えてくれた」。「これを。使い方をあなたに任せたいと」秘書が封筒から出したのは200億円の小切手だ。死ぬまでにしたいことの中で、二人は一つだけ「宇宙飛行をする」をし残していた。幸枝は呼びかけた「マ子さん、待っていてね。もう少しだから」。3年後、筑波宇宙開発基地からロケットが打ち上げられた。幸枝は200億円を太陽系研究開発に寄付したのだ。ロケットの横腹には鮮やかに「MAKO&SACHI」号と記された。宇宙飛行をする夢は実現したのだ▼この映画のいいところは、いわゆる「終活」を「生き活」に逆転したこと。人生を閉じるのではなく、開く発想に転じたことだ。吉永小百合と天海祐希というキャラを得て、それが成功している。吉永が天海に食ってかかる、この映画唯一のカラミがある。「私の人生をバカにしないでください。主婦だって、ノンキで楽なことばかりじゃない。思い通りにならないことばかりだし、逃げたくなることだってある。あきらめたこともある。私は何かを残したわけじゃないけど、毎日、毎日、とにかく一生懸命、私の家族のために生きてきた」吉永はこれを、怒りのあまりどもるような押し殺した声で言います。死は誰にでも来る。一日一日を愛おしむことを知ったマ子も幸せだったと思います。吉永と天海の「さすが」は横に置いといて、ムロツヨシと前川清が脇を締め好演。

 

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