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特集「ベストコレクション」

2020年4月16日

特集「スピカは昇る、初夏の星座のベストコレクション」⑦ 
カット/オフ(下)(2020年 サスペンス映画)

監督 クリスティアン・アルヴァルト

出演 モーリッツ・ブライプトロイ/ヤスナ・フリッツィー・バウアー

シネマ365日 No.3179

地獄へ落ちろ 

特集「スピカは昇る、初夏の星座のベストコレクション」

嵐の打ち寄せる島にポールは到着した。同行したのはインターンのインゴルフ。大学教授かつ検死官としてのポールの名声を慕って押しかけ、邪険にされながらインターンになった。船を出さない漁師に大金をつかませる。彼は14歳でサイトを立ち上げ億万長者となった。育ちのいいせいか鷹揚とし、興奮しがちなポールのワトスン役を果たす。島の病院の用務員エンダーは、小さなことは気にしない度胸のいい男。リンダと組んで島のどこかにいるサイコ連続殺人犯、サドラーに向かい、重傷を負いながら一命を取り留めた筋肉派だ。サドラーの隠れ家は島の灯台だった。彼はそこに誘拐した娘たちを監禁し、レイプし、精も根も尽き果て意識さえ朦朧となった彼女たちが、自殺するしかなくなるまで苛んだのだ。娘の父親の一人、シュウィントウスキーは、一度はサドラーを追い詰め、舌を切ったが息の根を止められず、逆襲したサドラーに殺された。「俺たちの娘は死んだが、君の娘はまだ生きている。チャンスをやろう」そのメッセージをポールが追っている▼サドラーは自殺のビデオを残したが偽装だった。捜索を警官隊に引き継ぎ、ポールとリンダはヘリで島を離れる。離陸した。リンダと向き合う座席にいるポール。リンダの隣が空いている。シートの下で何か動いた。「離れろ!」リンダを突き飛ばしたポールの前にシートを裂いて現れたのはサドラーだ。完全に狂っている。狭いヘリの中でポールは傷を負いながら、サドラーを蹴飛ばすがヘリのドアの縁にガッシリ右手でしがみつく。ポールは自分の太腿に刺さったナイフを引き抜くと一閃、親指を残しサドラーの指をスパッ。地獄へ落ちろ。サイコ男は海の藻屑か、それとも生き残るか、わからない。ともかく物語はここでエンドだ。ストーリーそのものもさることながら、吹きすさぶ北の海。逆巻く怒涛。荒野の浜辺。下顎がぱっくりえぐり取られた遺体。頭蓋骨の蓋が開いた脳。映像の一つ一つがショッキングで、セリフのないシーンがホラーを喚起する。モーリッツ・ブライブトプロイは「ES[エス]」のほか「ソウル・キッチン」「ミケランジェロの暗号」「黄金のアデーレ」「修道士は沈黙する」など、ドイツを代表する演技派。リンダのヤスナ・フリッツィー・バウアーは「東ベルリンから来た女」で、ヒロインが一身に代えて亡命させた少女。ニーナ・ホスのこぐ自転車の後ろにしがみついていました。はかなげな女の子が一人前になったわね。

 

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