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特集「B級映画に愛をこめて」

2020年5月2日

特集「B級映画に愛を込めて14」② 
ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀(2011年 アクション映画)

監督 ジェローム・サル

出演 トメル・シスレー/シャロン・ストーン/ローラン・テルジェフ/ウルリッヒ・トゥクル

シネマ365日 No.3195

坊ちゃんヒーロー 

特集「B級映画に愛を込めて14」

大富豪の隠し子ラルゴ(トメル・シスレー)が父の死によって遺産530億ドルを相続した。会社を全て売却し全額をネリオ・ウィンチ財団に寄付する。財団の総裁は赤十字元委員長アレクサンドル・ユング(ローラン・テルジェフ)だ。フランス映画もコミック(原作)に手を出しハリウッドの向こうを張るのだ。ご時勢である。巨万の富をめぐる策謀の渦中で、若き大富豪の正義の戦いを描く。売却契約の直前、ラルゴは3年前のビルマ(ミャンマー)大虐殺への関与で国際刑事裁判所に拘束される。担当検事フランケン(シャロン・ストーン)が執拗にラルゴを追い詰める。ラルゴの父はビルマの軍事政権と手を組んで横領、その金は「パンドラ」と呼ぶ秘密の口座に賄賂を流していたというのだ▼ビルマには軍の独裁に虐げられている人々がいた。タイ国境の小村でラルゴが一緒に暮らした恋人マルナイはフランケンに証人として呼ばれ、「彼は旅人を装っていましたが実際は父ネリオと軍の独裁者ミン将軍をつなぐスパイだった。死んだ人たちのためにあなたの父親の計画を暴くわ」と証言。彼女は息子を将軍の人質に取られ偽証を強要されていた。なぜ軍部が僻村にこだわり、村民を虐殺したかというと、地下に豊かな鉱床があるのだ。軍用機からパラシュートで脱出したラルゴの空中アクションあり、恋人の救出劇あり(彼女は死んじゃうのですが)、フランケンとの対決あり、会社の買収を名乗り出たロシアのマフィアあり、次々シーンはスピーディに切り替わるわりには、退屈になってしまうのは、あまりにコミックの王道という出来過ぎのせいか。坊ちゃんヒーローを支える脇役(シャロンも含めて)がしっかりしているのが救い。シャロンは検事という柄ではないにせよタカビーの仕事女子という雰囲気をさすがにバッチリ決めています。例によって年だ、劣化だという評価がありますが、女優を年齢とシワでしか捉えられない、これこそ退屈な映画評ね▼ローラン・テルジェフをご記憶でしょうか。ルイス・ブニュエルの「銀河」、アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「囚われの女」、クロード・オータン・ララの「恋人たちの森」など、うるさい監督と仕事した個性派。本作は2010年、75歳で没する直前の遺作で、スクリーンに顔を出した途端、ドキッとする異様な存在感は健在でした。犯人は…どんでん返しではありますが、ユングが慎ましくラルゴを讃える仕草や言葉に反比例して、きっちり(こいつ、曲者だぞ)と思わせるのがさすが。ラルゴの右腕、守りの要を演じる弁護士にウルリッヒ・トゥクル。「善き人のためのソナタ」「セラフィーヌの庭」「白いリボン」「女は二度決断する」などの、ドイツを代表する俳優の一人。

 

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