女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「B級映画に愛をこめて」

2020年5月6日

特集「B級映画に愛を込めて14」⑥ 
テール しっぽのある美女(2013年 ファンタジー映画)

監督 アレクサンドル・ノラス

出演 シリー・ライナモ

シネマ365日 No.3199

ターレの末裔 

特集「B級映画に愛を込めて14」

売りは北欧ホラーですが、どこから見てもファンタジーでしょう。犯罪現場の清掃が仕事のレオとエルビスが、森の中の一軒家で、老人の殺害死体の処理に来た。古びた粗末な小屋には細かい書き込みのある書類や、実験道具や古い録音機、壁はシミだらけで不潔極まりない。そのへんのものをやたら触るなとレオは注意するが、エルビスは奥まった隠し部屋に浴槽があり、白濁した液がタプタプに入っている。スイッチに触れたら裸の若い女性が液体の中からムックリ。言葉は喋れないが、彼女が手を触れると相手の考えていることが読み取れるテレパシーの持ち主だ。テープレコーダーを入れると殺された老人は軍医らしく、秘密の実験に関わっていた、と誰でも思うでしょ。でも違う。彼は森に潜んで子供を育てていたのだ▼赤ん坊の時に見つけたその子は成長するに従い手に負えない能力を示すようになった、とテープは語る。彼女の仲間が森にいるらしい。彼女(ターレ)は「彼らから逃げて8月で4年。彼らは探し続けているに違いない」。ターレは「我々と異なる種族だ。はるか昔、人間に進化しつつあったその種族は、自分たちが他の種族に数で勝ると悟った。そこで彼らは集団生活に自分を適応させたが、一部の者は適応できず森で暮らすことを選んだ」これがターレの仲間たちね。「ターレは一見無垢だが、あの白い肌と大きな瞳の裏には残忍な血と力が隠れている」。老人はその力の源がターレの尻尾にあるとわかった。ターレが触れると枯れた花がみずみずしくよみがえる。しかし老人は「君が見つかった時に仲間だとわからないよう」尻尾を切断し、冷蔵庫に保存した。尻尾は人間と動物を見分ける有力な器官だ。正体のばれることを「尻尾を出した」と言うでしょう。また動物は尻尾によってバランスを保つ。子育てにも有効だ。それをちょん切るなんてひどい。でもターレの能力は尻尾を切られても減退しない。仲間の姿形はひょろひょろとした、歩く尺取虫みたいだが、ターレだけがなぜかくも美しい造形を保っているのか。お前は虐待にあっていた、とテープにあったから姿形の異なるゆえにイジメにあい、ゆえに老人は少女を隠し、昔の仲間と一緒にさせなかったのね▼老人は軍の機密機関に属していたらしく、彼を追って軍人らしき制服の男がバラバラと小屋を取り囲んだ。経緯はわからないが小屋は爆破され、侵入者らは殺され、レオとエルビスは目隠しの袋をかぶって木に縛り付けられていた。仲間たちの前に姿を見せた少女は、恐れるどころか顎を動かしただけで、彼らを森の奥に行けと示し、自分も行動を共にする。レオの肺がん(末期だった)は治り、エルビスは妻子と再会し、彼らは「彼女は森の精霊だ。フルドラ(北欧の伝説の妖精)かもしれない」と納得。つじつまの合わないことはおびただしくあるのだけど、例えば残っていた缶詰が1980年代の製造で、何を食べて、飲んでターレは生きていたのか。発見された時は腹ペコでものも言わずパンを8個一気に食べた。妖精らしくない食欲だけど、監督はフルドラ伝説を映画にしたかったそうだから、まあいいか。ターレは森のリーダーとなって、超能力で北欧の美しい自然を守るのか。世界環境保護を訴える少女は、まさかターレの末裔では。

 

あなたにオススメ