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特集「煌びやかな墓場」

2020年5月11日

特集「煌びやかな墓場」③ 
嘆きの王冠 ホロウ・クラウン ヘンリー5世(上)(2017年 事実に基づく映画)

監督 テア・シャーロック

出演 トム・ヒドルストン/メラニー・ティエリー/ランベール・ウィルソン

シネマ365日 No.3203

アジャンクールの戦い 

特集「煌びやかな墓場」

ヘンリー5世は歴代イングランド王のなかでも最も人気のある君主の一人です。彼がフランスとの戦争で圧倒的に劣勢であるにもかかわらず、兵士たちに語りかけ、戦意を鼓舞、勇敢に戦場で戦い圧勝したことによります。織田信長の桶狭間に似たドラマティックな勝利は「アジャンクールの戦い」として有名です。映画はヘンリー5世の葬儀から始まります。彼の在位は9年と短かった。フランスとの戦争に勝利したのち、赤痢によって急逝しました。34歳でした。若くして逝った軍神のイメージは、彼のカリスマ性を際立たせました。本編は「ヘンリー4世」の放蕩時代の王子ではなく、花も実もある名君を描き出して充実しています。アジャンクールの戦闘シーンと疲弊した兵士を励ますシェイクスピアの名台詞は、BBC(製作)の底力を思わせるハイレベルな仕上がりでしたフランスの王位継承権を主張したヘンリー5世はフランス王の意向を伝えた伝令を追い返し、遠征を決意する。英国軍はまずノルマンディーのアルフルールを占領した。初戦に遅れをとった仏王シャルル6世(ランベール・ウィルソン)「敵を降伏させる」総攻撃で英軍をボロボロにした。両軍はなだらかな丘陵を挟んで相対し、気配を伺う。大勝利に酔った仏軍は自信満々で浮かれ気味。死を宣告されたも同様の英軍は、月下の幽霊のように意気消沈していた。王は兵士のテントを一つずつ巡察する。微笑を欠かさず兵士たちを兄弟よ、友よ、同胞よと呼びかけながら不安の影はなく、一睡もしていないにもかかわらず疲れを見せなかった。「悪い事態にもいい面はあるぞ。そこに目を向けるのだ。早起き(明朝は決戦)は健康的だし仕事もはかどる。我々は雑草から蜜を集め、悪魔すら教訓にできる」。援軍を望む臣下には「戦死するなら我々だけで充分だ。生き残れば少数なほど名誉の分け前が増える。私は黄金には興味がない。目に見える物への欲はない。だが名誉が罪ならば私ほど罪深い者はいない」そして臣下一人ずつ名を挙げ「我々の名は父から子へ語り継がれる。今日私と血を流す者は我が兄弟となる。敵に挑む勇気のない者は立ち去れ。帰国を許し旅費を出してやる。共に死ぬ覚悟のない者と運命を共にできない。身代金など誰が払うか。仏王に伝えよ。私が死んだら骨でも売れ。この戦いを“アジャンクールの戦い”と名付けよう」。夜が明け始めた。仏軍は隊列を整えた。王の側近(叔父でもある)エクセター公は馬腹を揃え王に並ぶ。前衛を買って出たヨーク公が王の指示を仰いだ。進め。「射手手」とエクセター公に呼びかけ、至近距離まで敵を引き寄せよと命じ、後方を託す。軍馬のいななきと共に両軍は激突した。

 

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