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特集「神も仏もない映画」

2020年5月17日

特集「神も仏もない映画4」② 
聖女/Mad Sister( 2019年 アクション映画)

監督 イム・ギョンテク

出演 イ・シヨン/パク・セワン

シネマ365日 No.3207

第三のヒロイン 

特集「神も仏もない映画4」

ヒロイン、イネ(イ・シヨン)を取り巻く登場人物が見事にクズなのね。一人だけ、誘拐されてきたイネの妹、ウネ(パク・セワン)を逃がそうとする青年は、ボスに吊るされ喉を掻き切られるし。イネは二人だけの姉妹である妹を、自分が守らねばと誓ったお姉さんだ。警護員として勤めていた時、刃物を持った暴漢を倒したが、過剰防衛だとされ1年半の実刑。刑務所を出て妹の待っている家に行く。妹は「お姉ちゃんの仕送りで買った」という赤いドレスを見せる。姉は喜ぶが、刑務所の作業賃を切り詰めて送った金で買えるような服ではない。ウネは17歳の高校生だが精神年齢は10歳程度。学校ではいじめにあい、姉と両親の墓参りに行くと約束した日の放課後、イジメ3人組が待ち伏せし、強引にカラオケに連れていく。彼女らの目的はウネに売春させ、ホテルに連れ込まれたところを仲間の男たちが押し入り、ウネを買った男性から金を巻き上げようという魂胆だ▼ある客が闇社会の男だったため、高校生たちは逃げ出しウネは連れ去られた。警察は少女の家出をまともに取り扱わない。三人組の一人は良心がとがめ、ウネが服を脱がされている動画を姉に見せる。姉はウネを売り飛ばした男を叩きのめし、どこへ売ったのか訊き出した。若い男が連れて行ったとだけわかった。姉は情報を手繰り寄せ、妹が自分の不在中、地元の男たちの慰み者になっていたことを知る。妹を拉致した黒幕は、姉妹の行方を探索し復讐を狙っていた議員だった。ウネをレイプしようとしていたところへ姉が救いに来て格闘、男の目を一つ失明させたのだ。いわば身から出たサビなのに男は逆恨み。妹は捕まえた、次は姉だと待ち構える。イネは議員の放ったボディガードたちを各個撃破。要塞のような議員の邸宅まで迫った。武装した男たちの数は25人▼CGなし、スタントなし、すべてをリアルで見せるバイオレンス・アクションとジャケ写にありました。元ボクサーであるイ・シヨンがさらにトレーニングを積んで遜色ない女優アクションを見せます。男たちの指を切断する、ハンマーで手を潰す、銃を使わず素手で倒していきます。ジェット・リーの傑作「キス・オブ・ザ・ドラゴン」のような必殺技はありませんが、体一つで死中に活を求めるヒロインの闘技が際立っています。とうとう議員を追い詰め息の根を止めたが、自分も彼のナイフで重傷を負った。妹を助け出し車に乗せた。広い庭園にはもはや人影はない。姉妹以外はみな死んでいる。発車。腹部からはどくどくと出血する。トンネルに来た。車はまっすぐトンネルに入っていく。彼女らの結末は想像できる。イネは助からないだろう。よしんば救命されたとしても、悪党とはいえ何人も殺した。姉が服役すれば妹は再び同じ道をたどるだろう。元々障碍のある身だ。施設送りとなり、薬漬けで廃人になるかもしれない。命の尽きることを知ったイネは妹を手にかけ、自分も死ぬのではないか。そんな予想しかできないのがこの映画なのです。韓国のヒロイン・アクションには「悪女/AKUJO」や「The Witch」がありました。それら先行二作とは異なる、第三のヒロインを作りたかったのだと思うのですが、どんな形であれ、救いがあればよかったのに。死んで花実が咲くものか、というのは平凡かもしれないけど人生の真実よ。平凡な真実だから人を納得させるのよ。それはともかく、女ならどんなひどい目に合わせても何もできないだろうと、タカをくくっていた男の発想をイ・シヨンはぶっ壊す。監督の意図は案外そんなところにあったのかもね。

 

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