女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「神も仏もない映画」

2020年5月18日

特集「神も仏もない映画4」③ 
唇を閉ざせ(2011年 ミステリー映画)

監督 ギョーム・カネ

出演 フランソワ・クリュゼ/マリ=ジョゼ・クローズ/クリスティン・スコット・トーマス/ナタリー・バイ

シネマ365日 No.3208

死者からのメール 

特集「神も仏もない映画4」

妻マルゴ(マリ=ジョゼ・クローズ)が惨殺されてから8年、小児科医アレックス(フランソワ・クリュゼ)は未だ心の傷が癒えない。ある日、自分と妻しか知らない「MA」という記号で発信されたメールを受け取る。アクセスするとマルゴが空港らしい場所にハンチングとサングラスで映っていた。アレックスは彼女の死を確認した警察官であり、彼女の実父であるジャックに、妻がどんな状態で死んでいたのか確かめに行った。「左瞼は腫れ、額はナイフで裂かれ鼻は折れてつぶれ、顎は外れ腱も切れていた」そして動物の死骸とともにゴミ捨て場に捨てられていた…ならばあのメールは誰から。シーンは変わり墓地である。「フィリップ・ヌヴィル1967ー1997」の墓がある。30歳で死んだ地元議会議長の息子だ▼話は込み入り登場人物は多彩です。アレックスの姉、姉の“妻”であり友人であるエレーヌ(クリスティン・スコット・トーマス)、ヴェルサイユ署の警視エリック。アレックスの弁護を引き受ける敏腕の弁護士エリザベス(ナタリー・バイ)。マルゴの親友、シャルロットが頭に二発銃弾を撃ち込まれ殺された。容疑がアレックスにかかり追われることになる。アレックスが息子の難病をきちんと診察してくれたことに恩義を感じ、彼の逃走を助けるゴロツキのブリュノ。アレックス犯人説に疑問を持つ警視。話が絡み合い長尺130分。ギョーム・カネ監督への評価は高いのですが、イマイチ乗り切れなかった。フィリップは名士の息子という立場を利用し、少年少女をレイプする札付きのクズ男だった。男の子が泣きながらヌヴィルの息子に犯されていると訴えに来た。厚生施設で職業指導をしているマルゴは、夫アレックスの出張中フィリップを自宅に呼んだ。男はマルゴに襲いかかり暴力を振るい、半死半生の目に合わせた。そこへ父が来て射殺した▼父は街を騒がしている連続殺人事件を偽装してフィリップの死体を埋め別の女性の死体をマルゴとして身元確認した。しかしヌヴィルの父親は息子とマルゴの死に疑問を持ち、手下を使ってアレックスの周辺を監視させていた。警視はアレックスが犯人ではないと見ていた。そしてある役割を彼に与える。会いに来たアレックスに義父は「自分が殺した」と告白する。そのあとテレビの音を大きくし「隠しマイクを着けているな。これから真相を言う」。射殺したのは娘だった。父親が家に来た時はフィリップの死体のそばにしゃがみ込み、心神喪失状態だった。父親は娘の罪をかぶり身代わり犯となった。娘はマドリッドに逃亡し以後音信不通となった▼衝動殺人ってことね。プロセスが輻輳している割に単純な動機で気抜けしてしまった。アレックスとマルゴが思い出の場所で再会するのだけど、事件に巻き込まれたマルゴの親友や、父親の犠牲を考えると二人の将来には暗いものがある。映画としては力作ではあったけど、多種ふんだんな五目入り豪華なラーメンを食べ、ボリュームもお味もまずまずだったけど、何を食べたかよく覚えられなかった食後感に似ている。父親にすれば、警察はみなヌヴィルに買収されている。しかもヌヴィルは真犯人の目星をつけている。娘が生きて帰ってきても無事で居させるためには、自分がヌヴィルの息子を殺したことにして復讐をへし折るしかない…親ってつくづく損な役回りね。“Tell No One”の、意味をそのままに「唇を閉ざせ」と置き換えた邦題のセンスは秀抜。フィリップ・ヌヴィルには監督のギョーム・カネが扮しています。俳優としての最近の出演作には「セザンヌと過ごした時間」「シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢」、フランソワ・クリュゼには「殺意の夏」「愛の地獄」「最強のふたり」などの代表作があります。

 

あなたにオススメ