女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「ナンセンスは素敵だ」

2020年5月25日

特集「ナンセンスは素敵だ6」⑤ 
ブルーランジェリー(2018年 劇場未公開)

監督 デヴィッド・バーカー

出演 エラ・スコット・リンチ

シネマ365日 No.3215

殺人はあったのか? 

特集「ナンセンスは素敵だ6」

間違っているとは思うのだけど、ヒロイン、サラ(エラ・スコット・リンチ)がいつも自己対話する黒髪の女(もう一人の自分)に誘われ、バーに行ってナンパ男ルイスとともに彼の友人ケニーの豪邸に行く、そこで行為の最中、ルイスとケニーが入れ替わったことに気づいたサラは、動揺してゴルフクラブでケニーを撲殺する。ルイスは、もともとケニーはいけすかん奴だったとか、友だちの悪口を言い、サラと二人で森に埋めに行く。サラはブルーのパンティを、ケニーの口を開けた額の傷口に押し込んでいたから回収する。ケニーの両親が帰ってきて、息子の友人と称する二人の言動に不審を持つ。車のトランクを開けたら血まみれの下着と泥だらけのスコップがあった。これはどういうこと問い詰めた母親の喉をルイスは掻き切る。シャワー室から出てきた父親も殺す。サラは自分を侮辱した謝罪文を書いてくれと男に強制し、ルイスがそれを書くと彼を殺して首つり自殺を偽装し、テーブルに彼の謝罪文を置いてサヨナラ。翌朝、旅先から帰宅した夫と娘をサラは穏やかに迎え、夜は娘とともに眠りに就いた。バーで男と会ってから一連の殺人事件は実際に生じており、サラの二重人格のなせる技だという捉え方がひとつ▼対して私、ソファで本を読みながら、うつらうつらしているサラの脳裏に、いつもの黒髪の女が現れ、それ以後のシーンはズ〜とサラの妄想だと考えたのです。だってね、お屋敷の連続殺人の内容があまりにチャチで、両親を殺すのは行き当たりバッタリで興ざめしたこと。狂気とは「人が狂気と呼ぶ、本人の正気」なのに、その闇が一つもないことが退屈の理由だった。黒髪女のキャラも不徹底で、サラをそそのかすかと思えば(もうやめて)と殺人を止めに入るなど、到底悪の化身ではない。殺される男二人は、生かしておいても邪魔になるから強制退場させたという扱いに近い▼これらが始めからサラの妄想世界だとしたら、一夜明けたあとの家族との団欒は(ああ、そう、やっぱりね)と、白昼夢から覚めたようなサッパリ感がして後味がよかったと思える。黒髪女は酷薄でも、やさしくも賢くもない。ヒロインが描き出す幻想の友ですが、彼女のキャラがイマイチ弱いので、ヒロインが無意識の自分の出現に悩んでいるのか楽しんでいるのかも中途半端。致命傷だった。もう一人の自分とは時としてリアルな自分と食い合う存在でないと、少なくともスクリーンの緊張は維持するのが難しい。サスペンスとしたら面白くなったアイデアなのに、暇な奥さんの夢想する、独り言の相手になってしまったのが惜しかった。

 

あなたにオススメ