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特集「ベストコレクション」

2020年6月21日

特集「心は紫陽花の花6月のベストコレクション」⑬ 
閉鎖病棟-それぞれの朝-(2019年 社会派映画)

監督 平山秀幸

出演 笑福亭鶴瓶/綾野剛/小松菜奈/小林聡美

シネマ365日 No.3242

毎日面会に来ます 

特集「心は紫陽花の花6月のベストコレクション」

地元の住人がいう「いわゆる坂の上の人」とは精神病院・六王寺病院の患者のことです。死刑執行されたが死んでいなかった秀丸(笑福亭鶴瓶)は、脊椎を損傷して車椅子生活になり、同院の作業所で陶芸をしながら寡黙に過ごす。中弥(綾野剛)は幻聴の発作に悩み任意入院中。カメラを片時も離さず写真を撮っている昭八。女子高生の島崎由紀(小松菜奈)が母親に付き添われ入院した。口を利かず食べもしない。医師が妊娠を確認すると、建物の屋上から飛び降りた。軽症ですんだがお腹の子はダメだった。みなワケありだ。石田サナエは毎月家族に会いに行くが、カプセルホテルで一泊して帰ってくるだけ。みなそれを知っていて敢えて口に出さない。重宗は薬物中毒の暴力男だ。いやらしい目つきでいつも由紀を眺めていたが、ある日彼女が陶芸室に花瓶を取りに行った後をつけ、レイプする。由紀は実家でも義父の性的虐待を受けていた。彼女は失踪する▼秀丸、中弥、由紀、昭八はウマが合った。ここを出たら一緒に住みたいね、と中弥。「俺は社会に出られん人間や」と秀丸。彼は妻が不倫の現場を目撃し愛人共々刺殺。一人にしておけない寝たきりの母も手にかけた。自分を見て微笑む母親に「誰も面倒、見てくれるもん、おらんなあ」とつぶやく秀丸が哀れだった。外出許可をもらって4人で買い物に行った。由紀は秀丸にアームカバーをプレゼント。秀丸は由紀が欲しそうに手にとっていたシュシュを買ってあげる。公園のベンチに座ってコンビニ弁当を広げた。中弥は秀丸に缶ビールを買ってきた。おしいただくようにして飲み「はあ〜」と声を出した。昭八が4人の記念写真を撮った。昭八は作業所の窓からレイプの現場を写真に撮っていた。秀丸は由紀失踪の理由を知った。「誰にも見せるな。写真も消せ」と中弥に指示し、重宗を挑発し襲いかかってきたところをナイフで刺し、抱え込んで離さず死亡させた▼「元死刑囚公判」と新聞に出る。中弥は母親を厄介払いしようとする妹夫婦に「俺は退院する。家は売らない。あの家で母の面倒を看る」と通告する。精神病患者に何ができると抵抗する妹夫婦に、看護師長の井波(小林聡美)が「社会復帰の意欲が見られます」と支持する。中弥は公判を傍聴に来た。井波と病院の仲間が二人「秀丸さんの応援に来たの」。弁護側証人に立ったのは由紀だった。あれから2年。介護士見習いとして働いている。法廷で重宗の暴行を明らかにし、秀丸さんがやっていなかったら私が彼を殺していた。秀丸さんは私の身代わりですと述べ、「刑務所から出られないなら毎日面会に来ます。出所できるならその日をいつまでも待ちます」と吐露した。秀丸はうつむき(俺はそんな値打ちのある人間とちがう)と言いたげに小さく首をふる。ここは刑務所の高い壁に囲まれた運動場。秀丸は囚人たちが思い思いに体を動かしているのを見ていたが、おもむろに足を片方ずつ車椅子から剥がし、地面につけた。車椅子にしがみつきながら、何度目かに立てた。歩けはしないがいつかできるかもしれない。よろよろと身を支えている秀丸の後ろ姿でエンド▼過去の黒い波に沈没しかけながら、前を向いて泳ぎだした人々にフォーカス。罪と罰の重さに「死に損なった」と自分を嘲笑しながら「毎日面会に行く。出てこられるならいつまでも待つ」なんて由紀に言われたら、男一匹、頑張れや。中弥が法廷を連れ出される秀丸に「俺、退院したんだよ。秀さん、俺、退院したんだよ」と叫ぶ。「俺、大丈夫だよ、立ち直ったんだよ。一緒に住めるかもしれないじゃないか」と言いたいのだ。職を持って自分の居場所を見つけた大人の落ち着きを、小松菜奈が演じ分けていました。それぞれの好演に拍手。

 

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