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特集「密室でミステリーを」

2020年6月22日

特集「別室でミステリーを」① 
白い記憶の女(1988年 劇場未公開)

監督 ゴードン・ヘスラー

出演 メグ・ティリー/ルパート・フレイザー

シネマ365日 No.3243

妻が不憫だった 

特集「密室でミステリーを」

ミステリー、サイコ、ホラー、オカルト。盛り沢山な映画です。業界で成功したロンドンの骨董商アラン(ルパート・フレイザー)が、主張先のコペンハーゲンで取引相手の秘書カリン(メグ・ティリー)を紹介される。瞬時にメロメロになった男に(これはもう妄想オチだな)と見当をつける。彼女には秘密がありそう。高級レストランでの食事の後、タクシーで送っていくというのに「いつものバス」で帰る。絶対自分の家に来させない。過去を話さない。カリンは公園で女友達を一緒にいた、子供連れで結婚する。相手はいい人で子供も受け入れてくれると話すと、アランは「寛大な男性だな。僕はそう思えないかもしれない」というのを聞いて黙った。翼を折った鳩が地面にもがいていた。カリンはためらわず首をひねって楽にしてやる。噴水のある広場で「あなたのために脱ぐわ」と行ってブラウスのボタンを外す。アランが止める。ヒールのかかとが取れて足に怪我をした。腰掛けて足を「舐めて」という。教会を異常に嫌がる。(ははん、これはサイコものだな)。いや、そうじゃなかったのだ▼二人は結婚し、ロンドンの豪邸で暮らす。広い庭に四阿があり、ブランコが一つ。そこでセックスした二人。気がつくとあたりは夜でアランは一人(全裸で!)四阿に眠っていた。家の中に戻るとカリンだけベッドでおやすみ(この冷淡さ。ホラーの前兆か)。電話から聞こえた子供の泣き声に興奮し、「すべてあなたに話すわ」というのにアランは「いいのだ、君を愛している」だったら聞いてあげたほうがよいのでは…カリンは強風の夜に「私はもう逃げない。逃げるより尊厳を保ちたい」と暗闇に宣言し、木々がざわめき「そろそろ来るわ。覚悟を決めるときね。アラン、車で逃げて」(オカルトかよ!)。夜が明ける。「私を車で家から出して。海まで遠い?」「すぐだ」(え、100キロだと言っていなかった?)。二人は浜辺で愛し合い「知っているのね。私のしたことを」「ああ」(誰が知るかい!)アランは波間から不気味な怪物が襲ってくる幻に気絶する。一転、ここは病院。医師がアランに説明中。「奥さんが妊娠していたことは?」「知っていました」「以前出産経験が?」「その子は結婚前に死にました」「会陰切開の跡がある。そのとき卵管が菌に感染したようだ。卵管が閉塞し子宮外妊娠でした。性行為など論外。破裂した途端激痛とショックに襲われます」「妻は?」「夜のうちに亡くなりました」▼何があったのか。アランの話を聞くしかない。「カリン、君は娘を殺した。連れ子の話をした時の僕の拒否反応を知って。娘を連れて結婚はできないと思ったのだ。カリン、自分を責めるな。君を追い詰めた僕の責任だ。君の秘密は守る」。これじゃ聞かされたほうがやりきれないわ。貧しいシングルマザーだったカリンは(バス代の小銭も持っていず、電話料金も着信払いだった)アランと出会って夢のような世界を知った、豪華なレストラン、食べたこともないご馳走、一流のホテル、惜しげなく買ってくれるドレス、靴。「どんな犠牲を払ってもこの幸福を手放したくない」。だからって自分の子を亡き者にして…はとんでもない脱線だわ。しかしアランはカリンが不憫だったのでしょう。彼女の犯罪は黙秘し、短く激しく、夢のようだった結婚生活を思う。ルパート・フレイザーという人が、アンソニー・パーキンスにちょっと似ていまして、身も世もなくカリンにのめり込むのが一種の壮観でした。一体どうなると思わせつつ最後まで引きずった、曰く言い難い“ミステリー”に一票。

 

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