女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「密室でミステリーを」

2020年6月24日

特集「別室でミステリーを」③ 
THE BRIDGE/ブリッジ2(下)(2014年 テレビ映画)

監督 モーテン・アーフレツ

出演 ソフィア・ヘリーン/キム・ボドゥニア

シネマ365日 No.3245

救いなき夜に生まれつく 

特集「密室でミステリーを」

兄と妹はこう言い争っていた「兄さん、私につきまとうの、やめて。私が家を買ったら30メートル先に引っ越して頻繁にここへ来る。兄さんは何一つ成功しない。無能な兄さんを認めるわけ、ないのに」「僕が無能だって。僕が何をしたと思う。肺ペストを広めた」「何の話?」「若者を感染させ船を座礁させた。だから会社の株価が上がった。なぜ君がEU会議で講演できることになったと思う。決まっていた後援者が死んだからだ。お前のためを思っていた。治験薬に副作用があるとわかったあとも僕が守った。お前をないがしろにした奴を許さなかった。お前が買った男娼は自伝を書いて寝た女を暴露するというから毒殺した。みんな君を尊敬すべきだ。僕みたいに君を愛するべきだ。どんな素敵でも人はすぐ忘れる。だから“卒業”で記憶に残すのさ」「兄さん、警察に行きましょう」「行くわけ、ないだろ。眠ったまま聖人になれ」ヴィクトリアの首を絞めにかかった夫を映像で見て妻は隣の家に駆けつける。夫を引き剥がそうとしたが男の力で跳ね飛ばされた。そばにあった置物で殴りつけ、気がつくとオリベルは血まみれになって倒れていた▼捜査チームは犯人の自白による事件解決とみなした。サーガだけ納得しない。「まだ“卒業”が残っている」。サーガは再び検死官に聞く。「新ウィルスの開発はどうやったら可能なの?」「とびきりの頭脳と最新の研究設備と資金」該当するのはゲオトルツ(オリベルの妻)だけだ。EU会議が始まった。厳重な警護に守られ来賓が会場に集まる。講演を前にヴィクトリアは鎮痛薬をゲオトルツに射ってもらった。重要人物の一人に挨拶をせねばならぬ。「講演を中止して」サーガ、マーティン、チームのメンバーが会場に入った。「換気口を止めて。出血した人に近づかないで」ヴィクトリアの控え室でカラの注射器を見たサーガはすでにヴィクトリアが感染させられたことを知る。化粧直しをしていたヴィクトリアを発見したのは女性刑事ペアニレだった。トイレのドア越しにサーガの声。換気口を閉じて出てきて。ヴィクトリアの吐血した血をペアニレが浴びた。目の前でヴィクトリアは死んだ。致死率100%。サーガが聞く。「伝言は?」「ないわ」ペアニレは自分の頭を撃ち抜く▼“卒業”の仕上げは、飛行機の中に肺ペスト菌をばらまき、感染した乗客がそれぞれの国に帰って拡散することだった。緊急着陸・隔離・処置が早く、乗客は命を取り留めた。会議場を逃走したゲオトルツはアジトで録画を収録していた。「サミットが終了しました。各国の環境大臣の死とともに。私たちの犯行です。理由は“もう待てない”。毎年結果の出ない会議を繰り返しているだけ。地球に環境の危機が迫っているのに権力者たちは行動を起こさない。義務を果たす国はどこにもない。環境問題はいつも先送りです。私たちは古い政治を消したのです。これで新しい大臣が選ばれるでしょう。失敗を繰り返さぬよう、監視しています」。男が入ってきて録画を中止した。「使えないよ。死んだのはヴィクトリアと刑事だけだ。だからオリベルはダメだと言ったのだ。マスコミが取り上げるのは妹への歪んだ愛情だけだ」男はゲアトルツを射殺して去った。真相はまだ闇の中だ。本件は宙に浮いたまま、これにて終了なのでしょうか。ペアニレの悲劇的な最期は辛い。サーガは同棲相手のヤコブが出て行って一人泣く。マーティンは復縁したかに見えた妻メッテから「ダメなの。あなたを愛していない」と告げられ、心身喪失。息子を殺し終身刑になって収監されている元同僚刑事、イェンスの幻影を再び見るようになる。彼は毒物入りコーヒーを差し入れてイェンスを殺害する。イェンス死亡のニュースを聞き、サーガは犯人がマーティンだと悟る。マーティンは逮捕。サーガには妹の自殺にまつわる暗い過去があります。母親が代理ミュンヒハウゼン症(自分自身でなく代理者を傷つけ満足を得る。子供や要介護高齢者が対象となる場合が多い)だったことが濃い影を落としています。「親が親権を失い、妹と暮らすことになった。私は罪を犯した。両親にその罪をかぶせた。妹を連れ出すためよ。私の性格のせいで母親が病気だと言っても信じてもらえなかった。だから妹を連れ出し救った。でも妹は自殺した。救ったことにならなかった」。サーガのチームはバラバラになりました。どうやって立ち直るのか…などと考えるのがハリウッド的で、北欧ドラマは人生の実相はどこまでも暗い、を貫くのでしょうか。全く「救いなき夜に生まれつく」とはこの映画のことね。乗りかかった船だ、つきあってやろうじゃん。次に来るテーマは多分「サーガの罪」だよ。

 

あなたにオススメ