女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「密室でミステリーを」

2020年6月26日

特集「別室でミステリーを」⑥ 
ボーダー/二つの世界(上)(2019年 ファンタジー映画)

監督 アリ・アッバシ

出演 エヴァ・メランデル/エーロ・ミロノフ

シネマ365日 No.3247

幻のトロル 

特集「別室でミステリーを」

人間ではない、トロルという種の二人が出会う。税関職員としてはたらくティーナ(エヴァ・メランデル)は鋭い臭覚で違法物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける特殊能力があった。ある日入国したヴォーレ(エーロ・ミロノフ)という男が怪しいと感じ同僚が別室で検査すると「彼にはペニスでなく膣があった」と報告する。性転換ではなく、手術の痕はあったが尾骨のあたりで、位置が遠すぎた。ティーナは自分も同じ箇所に傷痕のあることを知っていた。父親に聞いても子どもの頃とがった石に打ち付けたとしか教えてもらえない。家にはローランドという男が居候している。誰もいないよりいいかと思ってティーナは彼を置いているが、父親は「クズ男」と呼んで毛嫌いしている。ヴォーレのことが気になったティーナは、家の離れを提供する。二人の親近度が強まる。キノコ採りに森に入ったティーナは生い立ちを打ち明ける。「自分について妄想していた。妖精だったら素敵だと。でも結局は人間で醜くて、染色体に異常があり、ここに(と下腹部を指し)…珍しいケースだって。それで、私、子供ができないの」「人と違うのは優れている証拠だ。人の言葉など気にするな」▼ヴォーレとティーナは容貌も似ている。額が盛り上がり、頬骨が出て目が落ち窪んでいる。二人とも雷に打たれた痕があった。ティーナはこめかみに、ヴォーレは肩に。雷鳴が轟いた夜、怖くて抱き合った。欲望が高まり、ティーナの下腹からペニスが勃起し、ヴォーレの膣に挿入し、獣のように叫んだ。ティーナは男でヴォーレは女だった。「私は何者?」と訊くティーナの疑問にヴォーレは答える。「君はトロル。僕の仲間だ。人間と染色体が違うから尾が生えている。感情を嗅ぎ分けられるし、雷を引きよせる。僕らの尾は切り取って捨てられた」「仲間はいるの?」「小さな集団がフィンランドにいる。流浪の生活だ。こちらから近づく術はない。いつか彼らに僕を見つけてほしい。君は人間社会に馴染んで仕事もある。人間は我々を怖がる。僕の両親は実験材料にされ、10年間生殺しの上、拷問を受けて死んだ。僕は養護施設を転々とした」▼ティーナは幼児虐待ポルノ業者の摘発に、警察に協力したことを言った。「犯人は普通の夫婦よ」「人間はすべてを自分のために使う寄生動物だ。存在自体が害毒だ」ヴォーレは吐き捨てた。彼はあるものを冷蔵庫に隠している。留守中調べるとかなり大きな箱が押し込んであり、蓋を取ると妙な赤ん坊がいて、閉じた瞼をヒクヒクさせている。ヴォーレは「定期的に僕の体から出てくる。赤ん坊じゃない。ヒイシットだ。未受精卵のことさ」「あなたが産んだ?」「そうだ。人間の赤ん坊にそっくりだが人間じゃない。体は年度のように柔らかく、何も感じない。食べて眠るだけ。長くは生きない」そしてティーナが驚愕することを教えた。「テェンジリング(取り替えっこ)を知っているか。我々は虐げられた。だからやり返してやる。生まれたばかりの人間の赤ん坊とヒイシットを取り替える」「取り替えた子はどうするの?」「売るのさ」ヴォーレはポルノ業者に赤ん坊を提供していたのだった。「なぜそんなひどいことを」「我々を苦しめた人間に復讐してやるのだ」ティーナは獣のように怒りの咆哮を響き渡らせる。

 

あなたにオススメ