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特集「密室でミステリーを」

2020年6月29日

特集「別室でミステリーを」⑨ 
告白(2011年 ミステリー映画)

監督 中島哲也

出演 松たか子/岡田将生/木村佳乃

シネマ365日 No.3250

関わりたくございません 

特集「別室でミステリーを」

シングル・マザーの女教師・森口悠子(松たか子)が、1年 B組で終業式の日、娘・愛美がこのクラスの二人の生徒に殺されたと切り出した。警察は事故として処理したが自分には犯人がわかっている。生徒ABだという。先ほどあなたたちが飲んだ牛乳(乳製品推進運動のモデル校に指定され、生徒たち全員が牛乳を飲んだ)のうち、犯人であるAとBの牛乳に娘の父親である夫の血液を混入した。彼はエイズである。ウィルスに感染するかしないかは運次第。二人には「命」の重さをしっかりかみしめてほしいと言って辞任した。Aは渡辺修哉。Bは下村直樹だ。悠子の語りによって物語は進行するから複雑ではないが、それだけにミステリーというよりファンタジーに近いのだ▼直樹は感染の恐怖から引きこもりになり、母親(木村佳乃)は悠子の娘が死んだことより、あの教師のせいで息子がおかしくなったと逆恨みする。修哉は母親(才能ある電子工学者で今は大学の准教授)に認められたいために、大きな事件を起こせばいいと考えたのがことの始まり。事件を世間に吹聴する役には直樹がいいと仲間にしたが、直樹は登校拒否で学校に現れない。ならば自分のサイトを作り発明品をアピールして、母親の目に止まることを待ち望んでいた。直哉を心配した教師・寺田(岡田将生)は、クラスの女生徒・北原美月を連れ、直樹の家庭訪問を繰り返すが、騒々しい彼の熱血指導は逆効果。母親は息子の告白を聞きたまげる。電気ショック装置で気絶しただけの悠子の娘をプールに放り込んで水死させたというのだ。母親は親子心中を図るが、息子に刺殺され直樹は精神病院に。修哉は母親に会いに大学に行くが、母親は再婚し、妊娠しているとわかりガクッ。美月は直樹を追い詰めたのは寺田であると警察に話し、寺田は辞職に追い込まれた▼修哉は計画が狂ったことに腹を立て、大勢の人間を道連れに死んでやると、始業式の日に講堂に爆弾を仕掛けるものの、いち早く悠子が除去し、母親の研究室に移し替えた。爆破装置を押した修哉は何も起こらないことに(?)。そこへ悠子からケータイ、爆死したのはあなたのお母様だというメッセージだ。「これが私の復讐です。本当の地獄、ここからあなたの更生の第一歩が始まるのです」といい、電話を切って修哉の口癖「なーんてね」とケロリ。そのくせひざまずき号泣する。加えれば、修哉は付き合うようになっていた美月に「マザコンね」と言われ逆上し、彼女を殺し冷蔵庫に隠した。これも悠子は警察に通報した。寺田に、引きこもりの生徒にはこまめなケアが必要と使嗾し、頻繁に訪問させたのも悠子だ。自分で手を汚さず彼女は復讐を完遂したが虚しさに泣く。誰も幸福にならない。男子二人も虫酸が走るが、悠子のサイコぶりにたまげる。松たか子はあえて棒読みのセリフで生身の感情を抑圧していたが、そのせいか、感情移入できないヒロインに関心が湧かなかった。どこが「命の重さ」だよ。徹頭徹尾、建設的でもなく、整合性もない人物と状況設定であることが、たとえ映画でも(関わりたくございません)と思わせるから不思議。

 

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