女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2020年7月3日

特集「LGBT+映画にみるゲイ13」306 
カランコエの花(2018年 ゲイ、ヒューマン映画)

監督 中川駿

出演 今田美桜/有佐/山上絢加

シネマ365日 No.3253

何か文句、あるの 

特集「映画に見るゲイ13」

40分足らずの尺で考えさせられることの多い作品だったわ。クラスにLGBTの誰かがいる、と面白半分の噂が広まり、女生徒の一人だとわかる。わかったからってどうってこと、ないでしょ。そう考えられる人たちならこんな問題は起こらないのだろうけど。何しろ高校二年生よ。社会経験もないし、マイノリティへの差別迫害も実感として受け止められない。無責任に面白おかしくはやすクラスの中で、当事者の桜(有佐)は傷つく。有佐が好きな女の子は同じクラスの月乃(今田美桜)だ。月乃は同級生の打明け話から、桜が当の本人だと知っていたが、気づかないふりを装う。彼女にも対応の仕方がわからない。桜は月乃にだけはちゃんと理解してほしいと思い、放課後、月乃の自転車の後ろに乗せてもらい一緒に帰る。月乃の背中に顔をくっつけ、腰に腕を回して思いを伝えようとするが、月乃はただの仲良しのサインだと思うことにする▼最もわかっていないのは保健室の先生、花絵(山上絢加)です。桜は花絵に「好きな女の子がいます」と相談していた。年も近いし話しやすかったのだろう。翌週月曜日、花絵は桜のクラスの自習時間を使い「LGBT」と黒板に大書し「同性愛は病気でも異常でもありません。でも差別して偏見を持っている人がいるのが現実です」。当たり前じゃない。遅れているわね、この先生。それに教師の守秘義務ってどうなっているの。桜にしたら名こそ伏せられはしたが、さらし者になったのと同じです。ラストに桜が花絵と話しているシーンが入る。桜は楽しそうに「女の子が好き」だといい、その子は「ちょっと抜けていて、私の作ったケーキを美味しそうに食べてくれる。いつもニコニコして、一緒にいると私もニコニコする」と笑顔で話すのよ。好きな人がいるのは幸福なことなのよ。だからふんふんと聞いていてあげるだけでよかった、そのうち桜だってどう気持ちが変わるのか、変わらないのか誰にもわからないが、とりあえず楽しそうだから見守っていればいいじゃない▼ところが花絵は一大事とばかりLGBTの解釈に及ぶ。愛情のあり方をジャンルで区分けしようなんて、分析用語として用いられはするだろうけど、それでもって言葉の檻に入れられるのは、当事者にとっては迷惑だし、大きなお世話じゃないの? 抽象的なことを書いても仕方ないから、もし自分が花絵だったら、月乃だったら、桜だったらと考えたけど、どうしてもこうとしか言いようがないわ。「それがどうした、文句があるか」。もう一つ、桜は自分でクラスの黒板に「小牧桜はレスビアンです」と書き、月乃の反応を見るのだけど、月乃は友情のつもりで大ドジを踏んでしまう「桜はレスビアンなんかじゃない」と大声でかばうのだ。かばったことにすらならないのだけどね。そして友達を守れなかった、桜の気持ちを知りながら何もできなかった自分に嫌悪して「あなたを守る」という花言葉のカランコエのシュシュを外す。彼女も辛かったのね、かわいそうに。カムアウトにしても、やりたい人はすればいいし、したくない人はしないでいいし、人は自分の気持ちに無理しないでいいのよ。

 

あなたにオススメ