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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2020年7月7日

特集「映画に見るゲイ13」310 
黒執事 豪華客船編(2017年 アニメ映画)

監督 阿部記之

出演(声)=小野大輔/坂本真綾/田村ゆかり

シネマ365日 No.3257

両性の一致 

悪の貴族シエル(坂本真綾)のそばに必ずいる一人の執事セバスチャン(小野大輔)。シエルはファントムハイヴ家の当主。13歳。両親を殺害し屈辱と絶望を与えた相手に復讐すべく自らの魂と引き換えに悪魔セバスチャンと契約を交わした。代々英国裏社会を管理する「女王の番犬」の顔を隠し持つ。セバスチャンは主人の世話一切合切、家事雑事、戦闘を完璧に華麗にこなす。シエルに復讐を遂げさせその魂を手にすることに悪魔としての美学を見出す…と。シエルの指示は全て命令、受けるセバスチャンは即座に「はい、ご主人様」。「はい」は「拝」と同義語である。本作「豪華客船編」は、アウローラ(暁)学会という団体が「死者蘇生」に成功したと話を聞いたシエルが、セバスチャンと従僕スネークを連れ大西洋横断の客船カンパニア号で行われる集会に参加することに▼世界を健康にしたいと願う医師が最大の不健康、死を取り除くため死者を蘇生させる実験に成功、お披露目で動き出した女性の死者は会場の人々を襲い血しぶきあげてパクッ。以下ゾンビ集団と阿鼻叫喚の戦い、死に神アンダーテイカーとセバスチャンの対決、戦場と化した船内はコントロールを失い氷山に激突する。ゾンビの襲撃を受け危機に直面したシエルを救ったのはエリザベス。無双の剣技でゾンビを一掃し、こんな強い女ではシエルのお嫁さんになれないと泣く。「一掃せよ」のシエルの指示に「御意」。当たるを幸いなぎ倒しゾンビ軍団を討伐、朝日が昇るころ、さしもの戦闘も片がつき、救助船がやってきた。死に神のデスサイズ(大鎌)で深手を負ったセバスチャンをシエルがねぎらう。ふうん。何を血迷ってこの悪魔(セバスチャンのこと)は年端もいかないクソガキの魂が欲しいのでしょうね。彼がうっとりとつぶやくのだ。「必ずや勝利の王冠をあなたに。絶望で飾られた王冠をいただく時、あなたの魂はきっとしたたる血ほどに美味でしょう」。いうことが知的で詩的じゃない。でも登場人物のメインは全て男、エリザベスまでスーパーヒロインに早変わり。本作は男たち、あるいは男性キャラを最高にカッコよく見せる映画なのね▼人それぞれの好みがあるから、シエル坊やの魂を欲しがるセバチャンも、それはそれでいいとしよう。この二人はサドとマゾよ。セバスチャンはシエルの命令とその遂行に至上の悦楽を見出し、シエルは完璧な悪魔をほしいままにすることに極上の快感を得る。そうは描かれていないと言うかもしれないけど、潜在意識下では男同士の連帯と美意識が描かれているのと同じよ。「忠臣蔵」だって「三銃士」だって、惹かれ合い、尊敬し合える男たちの濃い友情なくして成立しない。作画がとても綺麗です。でも登場人物のほぼ全てが(ゾンビを除き)、アンドロイド系のユニキャラ。細身のハンサムボーイにハンサムガールです。衣装といえばシエルは(頻繁に着替えますが)立て襟のケープ、ボックスプリーツのジャケット、リボンで編み上げたブーツ、細身のタイツなど、少女かと見まごう。両性の究極の一致でこの映画は美とエレガンスをかもしている。セバスチャンの顔がやや面長すぎるきらいがあったけど、闇にきらめく赤い目が妖艶でよろしい。

 

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