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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2020年7月9日

特集「映画に見るゲイ13」312 
ジュリー・フィッシュ(2013年 LGBT映画)

監督 金子修介

出演 大谷澪/花井瑠美

シネマ365日 No.3259

花井瑠美の透明感 

ジュリー・フィッシュってクラゲのことなのね。ホントにクラゲみたいな映画だったわ。高校生の宮下夕紀(大谷澪)と、篠原叶子(花井瑠美)が主人公。水族館のクラゲの水槽の前で、叶子が夕紀にキスしてから、二人は接近する。叶子はクラスの人気者で夕紀は浮いた存在。叶子は夕紀が好きだと言い、誰もいないバス停でキスする。夕紀は内向的ではあるが、バイト先のDVD店のおじさん店長に「性欲が独立した存在ならどういう意味があるのでしょうか。私としてくれませんか」と持ちかけ半年間の関係にある。「レスビアンってどんな感じ?」と聞くと店長は「噂の二人」を貸してくれた。母親はいいお母さんだがやや口うるさい。父親は食事中お茶の代わりにコーラをラッパ飲みする変わった人。叶子の母親はほとんど家にいない。乱雑な部屋でカップ麺にコンビニのおにぎりを入れ、かき回して食べるのが叶子の夕食だ▼「夕紀が大学に行ったら私のこと、忘れるね」「忘れない」「忘れる」「忘れない」と言いながら誰もいないバス停のベンチに座りキスする。よくやるよ。だんだんエスカレートし、図書室やらどこやら、人気のないところでしっかり抱き合っている。夕紀が叶子のブタ小屋みたいな部屋にきた。「いいことしようか」叶子が首を絞めてくれと夕紀に頼み「夕ちゃんにもしてあげようか。私の夢を見られるかもよ」。夕紀は頭がぼんやりし、クラゲの幻想が浮かんだ。「いっそ死んじゃおうか、二人で」と叶子。でも彼女にはBFがいる。セックスもしている。夕紀は嫉妬と怒りで暴発。「私が気持ちよくなるまでやってください」と店長に言い、するりと裸になった。おじさんは夢中。店の中だ。たまたま奥さんが来て「何なの、この有様。何人店の子に手をつけたら気がすむの」で夕紀との関係はおしまい。叶子もBFと別れた。「棄ててやった。下手なのだもの」▼叶子が中学生で中絶した噂を聞く。「ホントよ」と叶子。「今は夕ちゃんが一番好き」「私も叶子の他に誰もいらない」「夕ちゃんに会うためにだけ、生まれてきたと本気で思えた」。気分は最高潮。いかがわしいほど汚い叶子の部屋で裸になり抱き合うが、叶子はどこか悲しげだ。夕紀はやるせなさがこみあげ「もういいんだよ、叶子」といたわる。叶子「あの時首絞めたまま死んじゃえばよかった。そうしたら誰も好きにならなくていいし、夕ちゃんだけ好きでいられた」夕紀は「噂の二人」のラストを教える。「オードリーは、何もかもなくして前だけ向いて歩いていくの。何も見えなくても、フラフラでもただ歩いていく」叶子「やっぱりクラゲだね」(そこへ落とすか)。「お願いがあるの。もう一回ここへキスして」と(どっちだか忘れたが)隆起の先端を唇に含んで別れた。数年後、街角で夕紀は叶子を見かけた。男性と一緒で大きなお腹をして笑いあっていた。夕紀は物陰に身を寄せてやり過ごし、待ち合わせた女の子と歩いていく。後ろ姿を見ながら「雨の日って、みな水槽の中を泳いでいるクラゲみたい」と叶子が言う。物語全体は高校生女子の恋愛映画「水の中のつぼみ」に似ています。これが、二人で死んじゃおうか、とまで思いつめたアツアツの恋の果てた無残な結果…でも(そうなることもアリよ、ため息つきたくなるけど、まあ、いいじゃない)と、無理なく着地させたところがいい。拠り所を見出せない、不安な透明感を漂わせながら漂流する花井瑠美がよかった…やっぱりクラゲに落ち着く。

 

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