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特集「ベストコレクション」

2020年7月31日

特集「真夏の夜は7月のベストコレクション」⑩ 
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒/BIRDS OF PREY(下)(2020年 アクション・コメディ映画)

監督 キャシー・ヤン

出演 マーゴット・ロビー/メアリー・エリザベス・ウィンステット/ジャーニー・スモレット=ベル/ロージー・ペレス

シネマ365日 No.3278

軽さの中の本気 

特集「真夏の夜は7月のベストコレクション」

監督キャシー・ヤン、脚本クリスティーナ・ホドソン、製作にマーゴット・ロビーが参入した女子会みたいなチームです。マーゴット・ロビーは「アイ・トーニャ 史上最大のスキャンダル」「アニー・イン・ザ・ターミナル」「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」など異色作が続く快進撃。アウトサイダーがお気に入りです。本作はぶつかりあいながら助け合う女子チームですが、「オーシャンズ8」とはちょっと弾け方が違う、というより全然整合性がなく徹底的にマンガチックです。地べたを這いずってきた悪カワ・ハーレイの冒頭の語りは「パパはあたしをビールと交換、何度捨てられても戻ってきたが結局放り出され、やさしいシスター(皮肉で言っている)に育てられ、でも長いものには巻かれないタイプ。あれこれうまくやって大学進学。博士号も取った。失恋も経験。愛ってむずかしい。ならば、と勉強して精神科医に。ジョーカーに出会ったが恋に落ちまくり、パラシュートなしで真っ逆さまダイブ。あたしは生まれ変わった」▼監督が意図したのは「感情を持ったリアルな女性を描きたかった」らしい。首をひねるものの、ハーレイの脱皮したヒロインは成功したように思えます。彼女は仲間のうち3人(レニー、ハントレス、ランス)が結成した悪党退治チーム「バーズ・オブ・プレイ」を「どう見てもバカの独善プレイ」と鼻で冷笑します。自分はスリの少女と共同で新ビジネスを開拓、その名も「バッド・アス マザーファッカー社」を立ち上げる。どっちが独善的か、サイコーにいかれた女なのであります。しかしジョーカーと別れた後、名刺に「探し物、得意」と書くなど、食事にも事欠くビンボー人が、何かして食い扶持を稼がねばと必死。パンクな持ち味がいたるところで炸裂する。見ようによっては女一人の独立劇を、本気の中の軽さ、軽さの中の本気で描いたところが面白かった▼ハーレイは真摯・真剣であることを忌み嫌い、世の常識からすれば監獄で閉じ込めておくのが最適な女です。社会に適合することを拒否した彼女の生き方を、いずれ来るアウトサイダーの末路(ボニーとクライドみたいな)にせず、徹頭徹尾シャラシャラ笑い飛ばす女にしたところが、脚本・監督の意図する「新しい視点」なのかもしれません。それというのも、アウトサイダーを抹殺するより、生き延びさせる方向に社会は動いている気がするからです。ダイバーシティ(多様性社会)の一画には、これまでと違うタイプの犯罪者像が組み込まれていくのではないかと。パンクな女子会映画というだけにしては、マーゴット・ロビーのノリがあまり生き生きしているので巻き込まれただけかもしれませんが、映画が示す方向は、おおむね社会の本流に合致する。「歌は世につれ、世は歌につれ」の通り、映画もまた世情を反映する最適のメディアでしたから。

 

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