女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「ベストコレクション」

2020年8月9日

特集「精霊流し8月のベストコレクション」⑨ 
リチャード・ジュエル(下)(2019年 事実に基づく映画)

監督 クリント・イーストウッド

出演 ポール・ウォルター・ハウザー/サム・ロックウェル/キャシー・ベイツ

シネマ365日 No.3287

やさしい巨人 

特集「精霊流し8月のベストコレクション」

ジュエルの弁護士ブライアントはジュエルの無実を訴える公開の場を設けます。ここに母親バーバラ(ボビ)が登場する。キャシー・ベイツのオスカー助演女優賞ノミネートはこのシーンで決まったと言ってもいい。以下セリフの全文です。「メディアは私の息子を事件の犯人だと表現しました。我々からプライバシーを奪い、平和を踏みにじり、我々のすることを監視し(盗聴した)、写真を撮りました。メディア同様FBIも息子の全てを追い、私の家を絶えず監視しています。なぜですか。息子は無実です。人殺しではありません。人々の命を救いました。大統領、どうか私の声を聞き届けてください。私の息子は英雄です。FBIもわかっているはずです。息子を罪に問うつもりがないなら世の中に向かってそう言ってください。大統領、息子の名誉を挽回させてください」キャシー・ベイツはこのシーンのため6時間イメージトレーニングに集中した。その集中力はド肝ものだったとサム・ロックウェルは振り返っています▼「理の部分」。FBI本部へジュエルとブライアントは召喚に応じました。「彼らに必要以上の経緯を払うな」とブライアント。「でも彼らは合衆国政府そのものだから」とまだ言うジュエルに「違う。合衆国政府に雇われたクソ3人だ。今から入る部屋に君より偉いやつは一人もいない」。これまでと同様の変化のない尋問が繰り返された。ジュエルが言った「質問していいですか。僕に対して何か証拠があるのですか。没収した母のタッパに何か爆弾の痕跡があったとでも? 母の家に爆弾製造の材料があったとか。僕はずっと信じていた。連邦法執行官こそ目指すべき最高の職だと。でもそう思えなくなりました。あの時僕が自分の任務を果たしたから、いま生きている人々がいる。でも次に警備員が不審な荷物を見つけたらその人は報告するだろうか。こう思うはずだ。ジュエルの二の舞はごめんだ。僕をつけまわして何をしてもいいが、僕に時間を使っている間に本物の犯人はほったらかし。もしそいつがまたやったらどうなる。僕を罪に問う証拠はあるのか。どうだ?」。▼状況証拠だけで容疑者と決めたFBI、ウラを取らずFBIの判断を垂れ流した記者、物的証拠がないまま容疑者を特定した捜査の杜撰さをつきつけています。捜査が始まって88日経過した。ショウ捜査官が昼食をとっているブライアントとジュエルの席に来て封筒を手渡した。ブライアントが開く。「終わりだ。勝ったのだよ。そう書いてある。1996年7月27日。記念公園における爆弾事件捜査対象には該当しない…」。6年後、ルーサーズビル警察署でジュエルは警官になっていた。ブライアントが来る。「見つかったよ。エリック・ルドルフ。彼が爆弾事件の犯人だと自白した」…ジュエルは2007年心臓発作で他界した。44歳だった。クリント・イーストウッドはこう述べる。「ジェエルの悪夢は誰にでも起こりうる。証拠もないままツイッター上で誰かが“有罪判決”を下すと事態は悪化するだけだ。ジュエルはちょっと生真面目で法執行官が正義だと信じている。今の時代、誰も守ってくれない。ジュエルは不当な扱いを受けたがこの映画で人間性が認められたと思う。その“やさしい巨人”の精神を表現したかった」

 

あなたにオススメ