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特集「ベストコレクション」

2020年8月11日

特集「精霊流し8月のベストコレクション」⑪ 
私の知らないわたしの素顔(下)(2020年 社会派映画)

監督 サフィ・ネブー

出演 ジュリエット・ビノシュ/フランソワ・シビル

シネマ365日 No.3289

どんな可能性もある 

特集「精霊流し8月のベストコレクション」

クレールの小説はヒロインの事故死で終わります。「創造の世界でも自分を傷つけるのね」とセラピーの先生。「誰があなたをそんなに苦しめたの?」先生の質問によってクレールの病んだ心が明らかになっていきます。「姪のカティアのこと、話したでしょ。彼女が私に敵意を見せるようになった。カティアと愛し合っていると夫が言った。結局20年連れ添った妻より27歳年下の女を選んだのよ。カティアは夫と暮らし始めた。あなたには言えなかった。書けなかった。彼らは私を破滅させた」「もう一人の自分として選んだ女性はあなたのライバルだったのね」「そうよ。彼女の美しさと若さがほしかった」(またこれかよ)。先生は「あなたは永遠の若さという幻想に逃避している」「恐いのは死じゃない。見捨てられることよ。大人だって弱いのよ。幻想でもいいからやさしくされたかった」。泣けるわね▼先生はリュドに会った。「彼女が入院したのは9ヶ月前です。アレックスは彼女に支配されていた。俺はすぐ相手がクレールだと気付いた。信じたくなかった。彼は彼女と別れアカウントも消した。数ヶ月後、クレールから電話があった時、アレックスは自殺したと伝えた。二人の関係が許せなかった。彼は生きている。子供も生まれた」。なあに、このクズ男、許すの、許さないのってあなたに関係ないでしょうが。それに入院が9ヶ月、その間に子供が生まれたとは、アレックスは別路線の恋愛で、ちゃんと結果を出しているじゃない。どっちもどっちね。でも先生はきっちり新しい事実をクレールに教え「だからあなたは責任を感じなくていい」とやさしくいう。うん、うん、とクレールは素直にうなずき「先生の助言通り、原稿を書き直している。結末はひとつじゃない。どんな可能性もあると希望が持てた」と。よかったわね、さあ出直しだ、と思うでしょ。過去は収束したのだから。ところがジュリエット・ビノシュはここから、最後のワンシーンで本領発揮するのだ。先生を見送り、バッグから出したのは“クララ”のケータイ。それってアレックス専用じゃなかった? そして電話をかけたのです。呼び出し音が鳴っている…「結末はひとつじゃない」から「どんな可能性もあると希望を持って」またぞろ、クレールは若さ願望にはまり、それを失ったが故に自分は破滅した恨みに縛られるのでしょうか。あなた、大学では学生にはまともな講義していたじゃない。しっかりしてよ。若さがあなたの価値の基準なら、高齢者はゲットーにでも入れというのかよ。謎の微笑を浮かべたクレール。退院したのが早すぎた?

 

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