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特集「ザ・クラシックス」

2020年8月15日

特集「ザ・クラシックス9」④ 
舞踏会の手帖(下)(1938年 恋愛映画)

監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ

出演 マリー・ベル/フランソワーズ・ロゼー

シネマ365日 No.3293

人生賛歌 

特集「ザ・クラシックス9」

四番目。クリスティーヌはアルプスに登って山岳ガイドとなったエリックに会う。彼は詩人を志していた。今は山小屋で喧騒を離れ粗食と山歩きのおかげで健康そのもの。野趣あふれる魅力的な男となっていた。彼となら夢見た人生再出発ができそう。ところがエリックは遭難者救援にクリスティーヌは後回し。私より仕事が大事なのね。クリスティーヌはさっさとホテルを引き払う。男のためによかったわ。五番目。政治家志望だったフランソワは海岸の田舎町で市長になっていた。再婚の婚礼の日にクリスティーナは到着する。妻になるのはメイドだった女性。彼は箸が転んだことにも文句をつけ、女中だったお前に自分の名前を与えるのだなんていう男。息子は与太者で父親の元に金を借りにくる。仏の顔も三度、頭にきた親父は息子を叩きのめし追い返す。男はお前を愛していると妻に告白。聞いていたクリスティーヌは黙ってサヨナラする▼六番目。医学生だったチェリー。マルセイユで開業していたが実情は闇の堕胎医だ。神経を病み、不意に発作を起こす体で船医になるつもりらしい。同居する家政婦はクリスティーナを敵視し悪態をつき、怒り狂った男は女を射殺しようとする。ほうほうの態でクリスティーナは辞去する。七番目。故郷で理髪師となったファビアン。日曜の舞踏会に一緒に踊ろうとクリスティーナを誘う。行って見ると田舎町のことゆえ、ろくな設営ではない。でも16歳の少女が初めての舞踏会に胸を躍らせていた。侘しさとともにクリスティーナは旅を終える。帰宅するとブレモン(秘書)がジェラールは湖畔の対岸に住んでいるのがわかったという。ギリシャ神話の男神のようだったジェラール。クリスティーナは早速船を出すが、豪壮な庭園に人影はなく、青年が一人憂鬱げに腰掛けていた。ジェラールの息子ジャックだった。父は死に、この屋敷も明日は人手に渡ると告げる。場面一転。美少年ジャックはクリスティーヌの部屋に入っていく。その夜の舞踏会にエスコートするのだ。輝くばかりの笑顔を取り戻したクリスティーヌは「ジャック、緊張する? 初めての舞踏会なんて初めてのタバコと同じよ」と言って灰皿のタバコをもみ消す▼ジャックは養子? 愛人にしたとしたら年齢差20歳。やるわね。デュヴィヴィエはこっちの線を描きたかったのでは(笑)。旅から帰ったクリスティーヌが、男たちの現在に失望したとブレモンにいうと「過去の亡霊とオサラバできてよかった」と返す。これが大人の男ってものよ。過去は懐かしんでもいい、美化してもいい、想いに耽ってもいい、今の自分の肥やしとなり、力となる限りはどんなセンチメンタリズムに浸ろうとそれでいいの。最後にとっておきの男を見つけたクリスティーナなんて、これジュリアン・デュヴィヴィエの人生賛歌なのね。

 

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