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特集「新宿2丁目を連れて歩きたいボーイフレンド」

2020年9月8日

特集「新宿2丁目を連れて歩きたいBF5」⑧ 真田広之 
彩り河(1984年 社会派映画)

監督 三村晴彦

出演 真田広之/三國連太郎/名取裕子/吉行和子/渡瀬恒彦/夏八木勲/平幹二朗

シネマ365日 No.3317

一瞬、アラン・ドロン 

特集「新宿2丁目を連れて歩きたいBF5」

映画はパッとしなかったのですが、当時24歳だった真田広之の青年像が印象に残りました。最後はラブロマンスに着地するゆるい運びでしたけど、三國連太郎、渡瀬恒彦、平幹二朗という、似ても焼いても食えない贅沢な役者が脇を固めています。真田広之は幼い頃、相互銀行取締役だった父親が、当時の同僚、三國連太郎に横領の濡れ衣を着せられ自殺、母親は無理がたたって病死。息子・譲二(真田広之)は両親の復讐を誓う、というもの。並行して首都高速の料金所の職員、井川(平幹二朗)の復讐が絡みます。彼は同期のライバル、昭明相互銀行社長の高柳(夏八木勲)との派閥争いに敗退、当時の恋人・和子(吉行和子)は銀座のクラブのママをしている。偶然、料金所で通過する高柳の車に彼女を見かけ、クラブを訪ねるが完全に無視。その彼女のパトロンは表向き高柳だが、実際は相互銀行界のドン、下田(三国連太郎)だった▼三國連太郎がいやらしいエロジジイをたっぷりと演じ場をさらい、彼に対抗する真田君の存在感、あやうし。そこはでも、同郷のママ、ふみ子(名取裕子)が譲二と出会い、愛しあい、井川も加わってラストの凄惨な皆殺しになだれ込むというハチャメチャで目をくらませてくれます。渡瀬恒彦は業界紙の記者・山越です。取材日を経費で落と編集長に原稿の催促ばかりされているいい加減な奴。高柳は下田に融資を断られ巨額の負債を抱え自殺。井川に遺書を残した。そこには裏金の流れや下田が巻き込んだ政界の大物らが名を連ねていた。井川はそれを山越に渡し、記事にして下田を葬ってくれと頼みますが、せこい山越は下田をゆすりに行ったばかりに消される▼譲二は突如、温泉宿の下田とふみ子の情事の最中に忍び込むのだからびっくりします。大きなナイフで刺殺しようとしたが失敗、ふみ子の機転で逃走しましたが、以後当然のごとく二人は恋仲になる。相互銀行の拠点となる会館完成の祝賀パーティーで、VIP会員だけで鑑賞する特別室が用意された。映写技師として紛れ込んだ譲二と井川は、鎮静剤を水割りに混入、もうろうと眠りこけた下田始め、会員たちを殺しちゃう。一転、二人は佐渡に面した新潟の荒海の海岸にいます。母親と昔暮らした女の話を譲二がふみ子に語る。「いい話ね」と言ってふみ子は譲二の肩にもたれる…という具合にわけのわからぬうちに終わりになりました。無差別殺人がこのような結末でいいのか。井川はどうなった。まさか「天城越え」みたいに、実はガンでいくばくもなかったというのじゃあるまいな。渡瀬、平、吉行、みな存在感のある中で、真田君だけが現実離れした役どころでして、ラストには調子よく歌まで歌っています。この彼が「ラスト・サムライ」みたいな重厚な役者になるのですから、人はただ精進あるのみ。体のキレはこの頃からよかったですね。彼はクラブ帰りの顧客の足を確保する配車係りをやっているのですが、車の洪水をスイスイかき分け、運転手に話をつけ、ものの2分も客をまたせない。水を得た魚のような運動神経に、一瞬、アラン・ドロンを思い出しました。

 

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