女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス」

2020年9月9日

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス2」① 
配達されない三通の手紙(1979年 ミステリー映画)

監督 野村芳太郎

出演 栗原小巻/松坂慶子/片岡孝夫/神崎愛/小川真由美/竹下景子

シネマ365日 No.3318

松坂の哀れと栗原の狂乱

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス2」

あイタ〜、空振りだったわ。原作がエラリー・クイーン。本格ミステリーと豪華配役陣への期待…勝手に期待したのだから映画は悪くないのだけど、一番びっくりしたのは松坂慶子が妖しさ満開で登場。これじゃ先を見なくても犯人もしくはそれに次ぐ最重要人物だ、くらいの見当はつきます。次女紀子(栗原小巻)は婚約者・藤村敏行(片岡孝夫)が結婚直前に失踪し、人前に出るのも気後れするウツになった。その敏行が突然姿を現し、父親唐沢光政に謝罪、紀子は生気を取り戻し結婚させてくれと頼む。父親は渋々折れ、自分の銀行の社員として敷地内に建てた広い離れに住まわせる。もともと気に要らない婿殿だったのだから、速やかに身元調査していたなら後の悲劇は避けられたでしょう▼唐沢家は長女麗子(小川真由美)、次女紀子、三女恵子(神崎愛)がいる。アメリカから孫のボブが日本文化研究のためやってきて唐沢家に居候する。紀子と敏行は盛大な結婚式を挙げ新婚旅行は海外に。そこへ敏行の妹・智子(松坂慶子)が転がり込んでくる。唐沢家の家風とは場違いにガラの悪い女で、図々しく無遠慮で「こんなに贅沢に暮らしていたら、人間おかしくなるのでは」なんて言う。兄貴、兄貴と敏行に馴れ馴れしい。敏行の経済書の挟んであった白い封筒を、何気に開いた紀子はみるみる真っ青。気になった恵子は紀子の留守中ボブと部屋を探して三通の封筒の中を読む。一通は「妹へ。今日妻が病気になった」(8月11日)、二通目は「妹へ。君に心配かけたくないが妻は重態だ」(8月20日)。三通目「妹へ。妻は死んだ」(9月1日)。紀子は気にする様子はなかったが、貧血やら嘔吐やらいろんな症状を呈する。紀子が倒れた後コーヒーの残りの中から砒素が検出された。でも紀子は、砒素は自分が持っていたもので庭木の除虫に使っていた、うっかりして指か何かについていたのを口に入れたのかもと説明し、恵子のフィアンセである検事の峯岸(渡瀬恒彦)もそれ以上追求できなかった。9月1日、敏行の誕生会の席上、紀子の持っていたグラスから酒を飲んだ智子が死ぬ。今度こそ殺人事件だ▼水割りを作った敏行が容疑者となる。彼は金に困っていて麗子の経営するバーで酔いつぶれ「チクショー、あの女」と口走り、妻の指輪を質に入れるなど、ただならぬ行いがあった。恵子とボブは智子と敏行がいた北海道に飛ぶ。智子の母が言うには、智子は妹ではなく敏行の妻で、2年近く同棲していたが別れ、敏行は紀子の元に戻ったという話。9月1日は何かが起こると予期していた恵子とボブは紀子と智子の挙動を監視していた。グラスに砒素を入れたのは紀子だった。智子と敏行が兄妹ではないと察しており、手紙にある「妻」とは自分のことで、敏行が殺そうとしているのは自分であると判断したのだが…紀子は妊娠していた。敏行逮捕で錯乱し、7ヶ月で早産。赤ん坊は助かったが紀子は衰弱死する。恵子とボブはこう結論する。敏行は本当の妹(竹下景子=敏行の大学の後輩、今は新聞記者として登場)に、妻(智子)を殺すと書いたが思いとどまった、しかし殺されるのは自分だと考えた紀子が一芝居打って智子を殺し、敏行を犯人に仕立てた…突然現れる妹とか、どうも無理がある上、神崎愛のフルート演奏なんて聴きたくもなく無駄なサービス。松坂慶子のヒップ・ヌードも脱ぎ損。これで二時間半も引っ張られるのは苦しい。あえて言うなら北の釧路の詫びしい漁村から、男を追ってきた松坂慶子の投げやりで捨て鉢な、抑制できなかった女の哀れと栗原小巻の狂いぶりに迫力あり▼小川真由美がバーのカウンターでタバコをふかす指が綺麗だ。細く長い指で後れ毛を書き上げる仕草など「真由美ちゃんの指に見惚れる」と女優仲間は羨んだものだ。この時の銘柄は「ドリーマーズ」でエヴァ・グリーンの吸っていたタバコだという説がある。

 

あなたにオススメ