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特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス」

2020年9月14日

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス2」⑥ 
新・極道の妻たち(1991年 社会派映画)

監督 中島貞夫

出演 岩下志麻/かたせ梨乃/高嶋政宏/本田博太郎

シネマ365日 No.3323

違っているのはいい事だ 

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス2」

極道の妻たち 最後の戦い」から1年後に本作ですから、当時の「極妻」の勢いが偲ばれる。尼崎に拠点を置く藤浪組は二代目の急死により、霊代(親分の未亡人のこと)の加奈江(岩下志麻)が統率していた。三代目を襲名するはずの加奈江の妹婿が香港で殺された。加奈江は娘婿の宗田(桑名正博)を選ぶが、母親への反発から、実の息子直也が三代目に立候補した。組内部は武闘派・直也と穏健派・宗田に分裂。加奈江は直也を「早死にする極道のタイプ」と見ており、三代目を宗田に譲り、直也と一緒に引退するつもりだったが、直也が強引に後継者争いに加わったことで叶わなくなった。直也は「ゴッドファーザー」のドン・コルレオーネの長男、血の気の多いソニーみたいで、三代目を継いだものの非業の死を遂げる。組織の近代化を図ろうとする宗田は藤浪の後継者と目されながらライバル組織・神原に通じる裏切り者だ。信頼する男たちの死と離反により、孤立した加奈江はどう出るか、が本作のメーンストーリーです▼藤浪の顧問弁護士・桐島美佐子がかたせ梨乃。トラブルを起こした若い組員を、執行猶予に持ち込むやり手だが、藤浪組との密接関係が取り沙汰され、弁護士協会から懲戒勧告を受けた。彼女は最後まで藤浪に残り土壇場で加奈江を救う。直也の警察への移送経路・時刻を知っていたのは自分と宗田だけ、と美佐子から聞いた加奈江は一掃作戦に出る。武闘派だ、近代化などという押し問答に貸す耳なし。目的遂行あるのみ。銃には銃を、力には力を。やられたら必ず報復するのが彼女の鉄の規律だ。傘下のホテル開業前祝いに、身内だけの祝賀会を催すと加奈江は通達する。直也の死により三代目を襲名することになった宗田はホテルの控え室で代表挨拶の練習に余念がない。音もなくドアが開き加奈江が入ってくる▼賑やかだったレセプション会場はいつの間にか人ひとりもいない。加奈江が警護二人を伴い、拳銃をテーブルに置く。「義理にもあんたは娘婿や。メンツだけは立ててあげる。これで落とし前、つけなはれ」と言い残し部屋を出た。発砲音があった。振り返ると立っているのは宗田、倒れたのが警護の二人。万事休す。しかし銃弾を浴びたのは宗田だった。背後から美佐子が撃ったのだ。弁護士資格剥奪、ムショ送りかも…美佐子は泣き崩れるが、加奈江は声もかけず去る。最大のヤマがまだある。三代目として宗田の葬儀は盛大に執り行われた。業界の関係者が焼香する。つと席を外した加奈江は霊代専属の執事・重田(本田博太郎)に目で合図した。重田は会釈し葬儀会場前に並ぶ数台の車に近づくや、白いコートの下に隠し持ったマシンガンをガガガガ、神原一党の車に浴びせかける。重田も被弾するがひるまず、神原の若頭を倒すのだ。本田博太郎、役得です。セリフは「はい」「失礼します」「どうぞ」くらい。影のように寡黙に、加奈江が誰にも頼めない仕事を果たす。藤浪も神原も残るはトップ同士。次なる闘争を予感させてエンドだ。情勢を右顧左眄する男たちに対し、意地を張り通す女たち。男の美学があるならば女の美学があってもいい。1990年代、「ニキータ」「羊たちの沈黙」「レオン」「ターミネーター2」のヒロインたちは何らかの手段で我を貫きます。今までと違ったことはいいことだ。今や世界の潮流となった「ダイバーシティ」(多様性)のうねりが生じてきた時代だったかもしれません。

 

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