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特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス」

2020年9月18日

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス2」⑩ 
極道の妻たち 危険な賭け(1996年 社会派映画)

監督 中島貞夫

出演 岩下志麻/かたせ梨乃/火野正平/石橋凌

シネマ365日 No.3327

かたせ梨乃、火野正平に拍手 

特集「幾億の星と幾千の月のシネマ・パラダイス2」

今回の志麻姉御の決め技は暗殺です。従前のシリーズのように、ヒロインが単身乗り込んで止めのセリフを口上する派手さはありません。そのせいか全体にトーンダウンした。中心となるのは日本最大の組織・坂松組三代目組長の跡目争い。有力候補は若頭の海原と舎弟頭の佐渡だったが、佐渡は老齢を理由に引退を表明した。そこへ北陸の敦賀を拠点とし、急成長してきた洲崎組組長・洲崎香矢(岩下志麻)が佐渡に肩入れしたことから話は複雑になる。香矢は「三代目を継ぐのはあんた以外におられません」となぜか佐渡を褒め上げ、組長に立候補させ、選挙準備金20億を用立ててやる。佐渡が借りていた10億の借金も催促なし。佐渡は張り切り組長選にネジリ鉢巻きだ。「佐渡さんが勝てるはず、おまへん」という側近に、香矢は「投資や。勝ち目のない勝負はせん」とうそぶく▼香矢の亡き夫の舎弟で、現在は海原組に所属する神鳥組組長・神鳥亮平(石橋凌)の妻静尾(かたせ梨乃)は、香矢を慕い、漁夫の利を狙って背後でうごめく大阪の市元(中尾彬)が、夫を操ろうとしても香矢を信じる。香矢には一人娘、東京の大学を中退して親元にいる香織がいる。工藤静香だ。香織が静尾の弟と恋仲になり、香矢がお膳立てしたエリートとの見合いを蹴り、勝手に結婚してしまう。しかし「新・極道の妻」でも本作でも、極妻・岩下志麻が親バカになって似合うはずもなく、工藤静香の出演はジョークに近い。本筋に影響しないところでウジャウジャしている分だけテンション低下。代わりに引き締めたのが火野正平演じる殺し屋だ。彼は佐渡暗殺のため市元に雇われたが、パーティー会場から逃走する途中、洲崎組に捕まり香矢の前に引き出される。「わての仕事、する気あるか」と香矢はアタッシュケースを開く。現金1億円。決まり。海原暗殺が実行された。佐渡に神鳥も、洲崎の息のかかった組長はどちらも殺された▼裏で絵を描いていたのは海原と市元だ。「今は騒ぎの鎮まるのを待って」と進言する幹部に香矢は「極道は一歩でも引いたら地獄や。手段は選ばん。何が何でも2万5000人のてっぺんに立って見せたる」と、空席の坂松組4代目組長にリーチをかけた。残るは市元。静尾は大阪に潜伏し「姐さんを待って」いた。その時が来た。会合の席で市元に近づいた静尾は市元を殴り倒し、口に拳銃を押し込む。「主人の仇。往生しいや」ズドン。敦賀で香矢が電話を受けている。「そうか。すぐに発つ。事務所で次の指示を待つのや」エンド。女優演じるフィルム・ノワール。10年にわたる長期シリーズで興収もダントツ。邦画史上、特筆すべき金字塔となった「極妻」の中で、本作はやや物足りないのですが何事も完璧はない。ケチをつけるより、見せ場をさらった、かたせ梨乃と火野正平に拍手しよう。

 

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