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特集「ベストコレクション」

2020年9月23日

特集「遥けき空鳥渡る9月ベストコレクション」④ 
八日目の蝉(2011年 社会派映画)

監督 成島出

出演 永作博美/井上真央/小池栄子/余貴美子/市川実和子

シネマ365日 No.3332

渾身の愛 

特集「遥けき空鳥渡る9月ベストコレクション」

(彼女、誘拐犯だよね、犯罪者だよね、子供連れた逃亡者じゃない…)と考えながら(そうやなあ、善悪正邪で割り切れんミステリアスなものが愛情っていうのかなあ、それにしても子供が学齢に達したらどうするの、どこまで逃げおおせる?)なんてすっかり希和子(永作博美)に感情移入させられてしまった方、きっと少なくないと思う。不倫相手の男の赤ん坊を盗んでしまった母親・希和子が永作博美。希和子は赤ん坊に薫と名付けます。21年後女子大生となったその子・恵里菜が井上真央。希和子が逃亡中、一時身を寄せた女性の駆け込み寺・エンジェルホームの主エンジェルが余貴美子。ホームで幼い恵里菜と遊んだ子供・千草が成長してルポライターとなり、恵里菜を訪ねてくる、それが小池栄子。彼女は恵里菜の再出発に大事な役割を果たします▼エンジェルホームがカルトの宗教団体と疑われ、警察がきた。すでに指名手配されていた希和子は着の身着のままで薫を抱きホームをでようとする。「ここへいきな」ハガキを一枚くれたのが沢田久美(市川実和子)だ。小豆島でそうめんを作っている沢田の実家だった。沢田夫婦は娘の近況を知らせてくれた希和子をはなれに住まわせ、家族同様に扱う。純朴な夫婦を平田満、風吹ジュンが好演。美しい瀬戸内の海に感動した希和子は「ママ、働くからね。働いて、綺麗なものをいっぱい恵里菜に見せてあげる」。娘はこの言葉を覚えていて、自分のお腹にいる子に同じことを誓います。小豆島の「虫送りの祭り」を撮影したアマチュアカメラマンの写真がコンクールで入賞した。希和子と薫の顔が全国紙に掲載された。希和子は「もう逃げられない」と観念する。町の小さな写真館で二人だけの家族写真を撮ってもらう。学校や海に薫を連れ、あるお寺に行ったとき薫が蝉の抜け殻を拾う。「蝉は7日間だけ生きられるの。でも8日目も生きることがあるかもね」。薫は「ひとりで8日も生きるのはいや。蝉が寂しくないように持っていてあげる」と答える。フェリー乗り場にきた希和子はそこに薫の実母と警察がきているのを見た▼千草と一緒に小豆島にきた恵里菜は希和子の足跡を追い写真館にたどり着く。希和子と自分の映った写真を見て撮影の前に希和子が「薫、ありがとう。ママ、薫と居れて幸せだった。ママはもう何にもいらない。薫が全部持って行って。大好きよ、薫」と言ったことを思い出す。あの女さえ自分を誘拐しなければと、恨み節ブツブツだった恵里菜に、4年間の逃亡中自分を守り育てた希和子の愛がよみがえる。感動すべきなのでしょうけど、恵里菜って子もイマイチだと思うわ。妻子ある男と不倫なんて、自力で生きられない女が軽率に手を出すものじゃないのよ。不倫相手の岸田という塾の講師に劇団ひとり。あんたギャグか、と言いたくなるほどのクズ男を演じました。エンジェルホームの女主・余貴美子がいい。「ここはアホなことする人間を助けるところや」「この子と生きていきたい。助けてください」「ようわかりました」スパッと受け入れ「男とか女とか、金持ちとか貧乏人とかを手放したらラクになる」と哲学オーラ満開▼千草の小池栄子もいいですよ。エンジェルホームという、過去のある女ばかりの中で育ったせいか男性恐怖症である。恵里菜が妊娠していると知り「相手は? よくそんな人好きになったわね。わたし結婚はダメだと思うけど、母親にならあんたと一緒にやれると思う。ダメ母でも二人いればマシだよ」そう言って励まし小豆島に同行する。恵里菜が人生の「八日目の蝉」を見出すきっかけを作る重要人物です。希和子が刑務所をでたその後がぷっつり絶たれてしまったのがあっけないですが、チマチマしたケチをいくらつけたところで永作博美が演じた「渾身の愛」にノックアウト、でした。

 

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