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特集「ベストコレクション」

2020年9月27日

特集「遥けき空鳥渡る9月ベストコレクション」⑧ 
スキャンダル(下)(2020年 事実に基づく映画)

監督 ジェイ・ローチ

出演 シャーリーズ・セロン/ニコール・キッドマン/マーゴット・ロビー/ジョン・リスゴー

シネマ365日 No.3336

悩みの日々そして逆転 

特集「遥けき空鳥渡る9月ベストコレクション」

「ケイラ、何があったの?」親友のジャニスが訊いた。ケイラは泣きながら「やったのよ。言われるまま。彼は行為の間じゅう、ずっと言い続けていた。“いい子だ。いい兵士になるぞ”。しかもズボンも脱がず。私、ものすごく不潔。たぶん、わたしポール/ワイスに行くわ」「それがいいよ。あそこなら外部の法律事務所だし信頼できる」「そうするのがいちばんいいと誰かに言ってほしかったのよ」。違う日、ポール/ワイスのドアを押した女性がもう一人いた。メーガンだった。「ロジャーは言いました。女がいいインタビュアーになれるか? 男には生まれつきの殺しの本能がある。悪さもするがやましいと思ったことはない。君にそのような強い衝動があるかね、と」メーガンはふとテーブルにある自分の札を見た。「私は証人W?」「なぜ?」「アルファベットの23番目。他に22人が名乗り出たのですね」▼新聞の1面トップが報じた。「メーガン・ケリー、FOX会長ロジャー・エイルズを告発」。おどりあがったのはグレッチェンだ。「よし、いいぞ!」。潮目は変わった。FOXCEOマードックは時流に敏感だった。ロジャーを解雇したのだ。グレッチェンはロジャーとの会話を、1年以上をかけ録音していた。周到な準備だった。ロジャーは抵抗した。「女たちに仕事を与え、テレビに出して有名にした。そんな彼女たちに俺が害を加えたというのか!」マードックは冷たく答える。「君の話はもう誰の関心も呼ばんよ」。潮が引くように彼の周りから人は去った。専用オフィスは閉鎖。駐車場も使えず誰も挨拶しなかった。「脚フェチ男も終わりか」「消えてけっこうだ」そんなささやきが交わされる。メーガンの独白。「職場でセクハラ被害にあうと、自問してばかりで悩み続ける。私は何を言った? 何を着ていた? 何をした? 何を見落とした? 私は弱く見えた? お金目当てだと言われる? 注目されたいと言われる? 仲間はずれにされる? 一生レッテルを貼られる? 女性を含め多くの人がセクハラに懐疑的だ。自分や知人が経験するまでは。その役目を私が負う。キャリアを危険にさらし、声をあげた女性たちは権力者を引き摺りおろした」▼権力に飲み込まれていた女性たちの逆転劇でした。メーガンとグレッチェンが実在で、ケイラは複数の女性を組み合わせた架空の人物です。ロジャーなる男性が放つ言葉の暴力。「更年期の女云々」は映画の始めのほうに出てくるのですが、思わず耳を疑った。本当にこんなひどいこと言う男、いたのね。これだけでもクビよ。最初の一歩を踏み出すのは、でも勇気が要ったでしょうね。メーガンも告発後、袋叩き同様のメディアの取材にさらされています。恩知らずとは思わないのか、というような。グレッチェンはのちに2000万ドル(ざっと20億円)でFOXと和解しました。テンポの早い序盤からセクハラの内側をじっくり暴いていくプロセスに見応えあり。ジェイ・ローチ監督には「ミート・ザ・ペアレンツ」「チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室」「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」「ザ・シークレットマン」などがあります。

 

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