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特集「ベストコレクション」

2020年10月1日

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」① 
ナイチンゲール(上)(2020年 事実に基づく映画)

監督 ジェニファー・ケント

出演 アイスリング・フランシオン/バイカリ・ガナンバル

シネマ365日 No.3340

死んでほしい男 

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」

200年前、イギリスの統治下だったオーストラリア、タスマニア島が舞台です。流刑地だった島では、開拓に必要な志願者が少なく、軽犯罪者を送り込み、女囚はイギリス兵の性の相手だった。先住民は動物のように扱われ、殺傷さえ自由にできる時代だった。アイルランド出身の女囚、クレア(アイスリング・フランシオキ)は現地で結婚、子供をもうけ、夫と暮らしていたが、査察官ホーキンスは刑期を終えた彼女に赦免状を書くと言いながら放置。クレアが頼むと「盗人のお前を監獄から出してやった。アイルランド人の夫と家庭を与えた。流刑囚の中で唯一の馬持ちになった。恩知らず」と逆上し、殴りつけレイプする。彼は1年の約束が3年もこの島にいる、早く本国に帰らしてくれと上官に訴えるが、素行が悪いため却下。それなら島を横断し、ローンセストンの町に行って直訴すると息巻く▼むしゃくしゃした彼はクレアの家に踏み入り、夫の眼の前で妻を凌辱し、生まれて間もない赤ん坊さえ殺してしまう。部下に向かって「女も始末しろ」。撲殺を免れたクレアはホーキンスと、夫と子供に手を下した部下二人を追って復讐の旅に出る。道案内に先住民(アボリジニ)のビリー(バイカリ・ガナンバル)を雇う。クレアはビリーを見下す。当時の黒人と白人は仇同士以上に憎しみあっていたから、クレアの態度は特別不思議ではないが、実に感じの悪い女としか言いようがない。クレアはビリーのアドバイスを無視し荒れる川に馬を乗り入れ溺れかかる、ヒルに吸いつかれる、そのたびビリーは冷静に対処するが、「イギリス人は叔父を殺し家族を奪い鎖につなぎ殴った」と吐き捨てる。「私はイギリス人じゃない、アイルランド人よ。イギリス人は大嫌い」。クレアもまた家族を虐殺され、旅の目的が復讐だと知ってビリーは協力する▼彼は有能なアボリジニだった。木の枝を削って槍を作り、掘っ建て小屋に忍び込んで食料を調達する。足跡を見ただけでいつ何人通ったか、どれくらいで追いつくか正確に算定した。先を行くホーキンスら3人は、出会った黒人女性をレイプ、輪姦、殺害、非道極まりない行為を続ける。追いついたクレアは一味の一人に負傷させ、ホーキンスに足手まといだとして放置されていた彼を惨殺する。先行隊のガイドをした老人はビリーの叔父だった。彼の射殺死体を発見したビリーは怒りに燃える。一味を発見した。機を見たビリーが「今だ、撃て」。ところがクレアは撃たないのだ。「もうやめる。家に帰りたい」と言い出す。何のためにここまで来たのか。ホーキンスとは「死んでくれた方がいい」世界規模トップの男ではないか。ジェニファー・ケント監督は何を考えているのか。彼女はオーストラリア人です。祖国の黒歴史を取り上げるにはそれなりの腹のくくり方があったはず。インタビューで答えていました。「物語を通して、人が暴力と復讐にかられるものは何かを描こうと思った。こういう植民地時代の影響は今も我々の精神構造と生活の中に存在している」それはわかりましたけど、今ここで、映画の中で白黒つけるべきじゃないのか、え、監督。単細胞丸出しですがそう思った。

 

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