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特集「ベストコレクション」

2020年10月3日

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」③ 
ラスト・ディール 美術商と名前をなくした肖像(上)(2020年 社会派映画)

監督 クラウス・ハロ

出演 ヘイッキ・ノウシアイネ

シネマ365日 No.3342

名も知らぬ男を追って 

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」

オラヴィ(ヘイッキ・ノウシアイネ)はヘルシンキの美術商。長年絵の売り買いをしてきたが、ネット通販に押され、店は在庫の山だ。親友のパトゥに「店を畳もうかと思っている。あと一度良い商売がしたい」ともらす。彼は一人暮らし。娘レアとは疎遠だ。そのレアから息子のオットーの体験学習をお父さんの店でさせてほしいと頼んできた。窃盗の補導歴があり、どこも受け入れてくれないのだ。オラヴィは無関心だ。妻に先立たれてから、娘も孫も寄り付かなくなった。仕事にかまけ、といえば聞こえはいいが、オラヴィの性格は自己中心的で人に関心もなく、温かみもないのだ。ドゥブロフスキー画廊がオークションの下見会を開いた。盛大に展示された絵画の中で一目惚れした「男の肖像」があった。33×41センチの小品だ。サインもなく作者不明だ。パトゥに相談する。「贋作かもしれんぞ。本物としても作者不明でサインもないなら売れないぞ」しかしオラヴィはその絵が忘れられない▼オットーがいきなり店に来て仕事をさせてくれという。仕方なく店番をさせた。オットーはオラヴィの留守中、定価より高い値段で絵を売り、ちゃっかり差額をせしめる。勝手に商売するな、とオラヴィが小言を言うと「じいちゃんこそバカにされている。堀り出し物を夢見てはガラクタばかり集めて」。そんな孫をオラヴィは美術館に連れていく。「この絵を見ろ。モデルに媚びない潔さを。この絵はオークションできそうなら3万(ユーロ)は覚悟しなければならん」「こんな小さい絵に?」「この絵は背景の夕焼けが見事だ。腰の曲がった老人と幼子が手をつないでいる。命を歩んできた者と歩みゆく者だ。人生を全うした者にしか描けない。オークションなら20万はする。絵の奥深さがわかったか?」。オットーは頭のいい子だった。じいちゃんは「男の肖像」をロシアの国民的画家、レーピンの作だと信じている。絵の情報は一つだけ、キャンパスの端っこに張り付いていた「ゴーデン(庭)」という文字だけだ。老人と孫は図書館にこもり、首っ引きでロシア人画家の画集から、レーピンの作品を洗い出す。「じいちゃん、これだよ。ミレスゴーデン美術館カタログ。レーピン展。油絵・キリスト・33×41センチ。サイズがぴったりだ。あの男はイエス様だったのだ」「写真がない。絵の写真がないと証明できん。オークションは明日なのに」孫はチャチャとミレスゴーデン美術館を検索し、その絵が「フィンランド在住、アナスタシア・レヒトネンより借用」したものであることを突き止める。ためらわず彼はアナスタシアに会いに行くのだ。たどり着いた介護施設でアナスタシアは亡くなっていた。名付け親ですと嘘をつき、遺品に立ち会わせてもらったオットーは、一冊の古ぼけた画集を見つける。その「レーピン宗教画」に、あったのだ。「キリスト」が。証拠はあがった。オークションが始まった。

 

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