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特集「ベストコレクション」

2020年10月6日

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」⑥ 
グレタ GRETA(下)(2019年 サイコ映画)

監督 ニール・ジョーダン

出演 イザベル・ユペール/クロエ・グレース・モレッツ/マイカ・モンロー

シネマ365日 No.3345

愛があとに残すものは

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」

父親は探偵を頼んでグレタの履歴を調べさせた。グレタの娘ニコラを担当したセラピストは「ニコラは4年前、自殺したの。彼女はパリにいたことはない。グレタのフランス語はデタラメで(ギャグでしょうか)ハンガリー人よ。グレタは病気よ。ニコラは子供の頃閉じ込められたと言ったの。箱か何かに。比喩だろうと思ったけど、そうじゃなかった」。娘はグレタに虐待を受け自殺したのだ。グレタの前身は病院勤めの看護師で、麻酔を常用して解雇された経歴があった。フランシスを付け狙うグレタの奇行は過激になる。フランシスが勤める高級レストランに客として現れ、辛口白ワインの注文にシャブリを出すと一口含み「あなたみたい。失望が大きいわ。何よ、こんなもの」床に叩きつけ、テーブルをひっくり返してわめく。「あなたには守ってくれる母親が必要よ。あなたの母親は死ぬ運命だった。私たちが出会うために。現実を受け入れなさい!」勝手に決めるなよ。警察が来てグレタを拘束したが、翌日釈放。フランシスはエリカのアドバイスで戦略を変えた▼「グレタ、ごめんなさい」と謝る。「母親を忘れられないであなたを責めたの。明日から旅に行く」「戻ってきたら会える?」牛乳を飲んだフランシスはもうろうとなって倒れた。グレタが麻酔薬を混入したのだ。グレタはタクシーでフランシスを自宅に運び、ピアノの後ろの隠し部屋に監禁した。探偵が訪ねてきた。悪びれもせずグレタは家に通し、同じく麻酔薬で眠らせ、リストのピアノ曲を弾いて踊り(「ジョーカー」よりキモい)無表情に探偵を射殺する。「バッグを置くのは自分でも名案だった。永遠の孤独から救ってくれるとは。バッグは回収され、話し相手ができる」。フランシスは大きな箱に詰められた。来客があった。落し物のハンドバッグを届けに来た若い娘だった。グレタはニッコリ、来客は落ち着いて椅子に腰掛け「この後はピアノを弾いて夢の話をしてくれる?」サッとカツラを取ると鮮やかな金髪。エリカが家を突き止め、救出に来たのだ! かっこいいわよ▼ブスッとグレタに注射し、隠し扉を見つけ、フランシスを運び出す。グレタを射殺しようとするがフランシスが止め、箱に入れてエッフェル塔のオブジェで鍵をかけ、呪わしい家から去る。室内は森閑。ややあって、ガタゴトと箱の中から音が。揺れが激しくなり「エッフェル塔」はもう少しで外れ落ちそうだ…。レストランの外、通りの向こう側で雨の中一人佇んでいるイザベルだけで寒気がする。後ろ姿だけで妖気が漂う。ナイフが閃くわけでも首が斬り落とされるわけでもないが、イザベルがいるだけでゾッ…と書きながら何故かクスッとなる。ユペールがあまり楽しそうなのでつられてしまうのだ。日常に潜むサイコを演じてイザベルの右に出る女優はおそらくいまい。理由は簡単。サイコとイザベルは一衣帯水だ。もっと言うなら、イザベルは異常な女が好きなのである。ひとつ間違えば踏み外す、細い線の上を誰しもが歩いているが気がつかない。イザベルはそれを面白がる。愛が後に残すものは夢と思い出? プッ。それは間抜けな女の子を口説くときの決めセリフで、真実は孤独と狂気なのよ。そんなイザベルの独り言が聞こえてきそうだ。ゴト、ゴト、ゴト。箱の揺れはまだ続いている。

 

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