女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「ベストコレクション」

2020年10月8日

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」⑧ 
ジュディ 虹の彼方に(下)(2020年 伝記映画)

監督 ルパート・グールド

出演 レニー・ゼルウィガー/ジェシー・バックリー

シネマ365日 No.3347

レインボウ・フラッグ 

特集「10月は燈火親しむベストコレクション」

ライブがはねた深夜、出待ちしていた中年男性、スタンとダンがジュディにサインを求めます。連日ライブに通い詰めているふたりの顔をジュディは覚えていた。夕食に誘ったがどこも店は開いておらず、スタンたちの住居でオムレツをご馳走してもらうことになった。「あなたの歌は耳をすり抜け心に届く」。オムレツは失敗したがジュディはスクランブルエッグに作り直す。一人は同性愛で半年間服役していたことを聞く。差別と偏見にさらされるゲイの苦しさを知ったジュディは「世間は自分たちと違う人間が気にくわないのよ。クソくらえ、よ」と励まし「悩みを忘れて幸せになろう」(「ゲット・ハッピー」)を歌うのだった。しかし酔っ払ってステージで醜態を演じたジュディは契約を打ち切られる▼ロザリンとバート(ステージマスター)からお別れの食事会に招かれたジュディは、レストランで出されたケーキのあまりの美味しさに笑顔を見せ、子役時代に経験したミッキー・ルーニーとの淡いロマンスを打ち明けた。最終ライブのステージにはジュディの代役ロニーが上がっていた。ロザリンの計らいで舞台裏からみていたジュディは矢も楯もたまらなくなり交代を願い出る。ロニーはジュディの必死さに交代を了承した。ステージを譲り受けたジュディは「一歩進めば道は開ける。そう信じることで人は生きられる」と熱唱。絶賛を浴び、最後に選んだ歌が「オーバー・ザ・レインボウ」だった。涙で声がつまり最後まで歌いきれなかった。客席にいたスタンとダンが立ち上がり続きを歌い出した。一人二人、歌声は増え、いつしか観客全員が歌っていた。「虹の彼方、どこか遠く、魔法の国があるらしいと昔、子守唄で聞いた。そこではどんな大きな夢も必ず叶うらしい」。このラストステージの半年後、ジュディはロンドンで死んだ。「心はどれだけ愛したかではなく、どれだけ愛されたかが大事だ」という「オズの魔法使い」の言葉はジュディのためにある。ステージシンガーとして、どれだけ愛されたかを願うのが、ジュディの生涯の総括であったろう▼LGBTQを表明するレインボウ・フラッグは「オーバー・ザ・レインボウ」に由来する。娘ライザは、母親の葬儀をハリウッドで行わず遺体をニューヨークに運んだ。ゲイバー「ストーンウォール」はジュディの葬儀を行った教会の近くにあった。「ストーンウォールの反乱」は葬儀の翌日だった。ジュディはマイノリティを理解した数少ない有名人だった。むしろジュディこそ特異な生い立ちと度重なる挫折によって、ノーマルな世間からはじき出された存在だった。彼女の歌は、抑圧された人々に夢みる力を与えた。反乱の一因は彼女の死にコミュニティの動揺があったからと伝えられる。世界各地ではためくようになったレインボウ・フラッグが、ジュディに見えているだろうか。

 

あなたにオススメ