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特集「B級映画に愛をこめて」

2020年10月14日

特集「B級映画に愛を込めて15」② 
仮面の真実(2003年 劇場未公開)

監督 ポール・マクギガン

出演 ポール・ベタニー/ウィレム・デフォー/ヴァンサン・カッセル

シネマ365日 No.3353

好きになれる映画 

特集「B級映画に愛を込めて15」

1380年イングランド。旅まわりの劇団に、人妻と関係して人を殺し、逃走中の元神父ニコラス(ポール・ベタニー)が潜り込む。座長マーティン(ウィレム・デフォー)は聖書からテーマをとった芝居を上演している。団員はマーティンのほかサラ、息子のスプリンガー、女形のストロウ(トム・ハーディ)、副座長格のトビアスだ。とある村に到着し上演の口上をして回ったが客の入りはさっぱり。急死したマーティンの父の葬儀代も出ない。村では少年を殺した(とされる)女が首吊りの刑に決まった。女は口がきけず、言い開きもできなかった。飢えをしのぐこともできない一座は演目を変えることにする。少年が殺された事件を上演しようと決める。「テーマは欲望と誘惑だよ。女は財布を目当てに道端で少年を誘った。誘惑に負けた少年には死が待っていた」朝のうち、簡単な打ち合わせして午後に上演、筋金入りの旅まわり役者たちはちょい、ちょいと立ち稽古してあらまし飲み込んでしまう▼馬車に大道具、小道具を積み、馭者台に乗るのはサラだけ、あとは馬の後から徒歩。村に着くとテントを張り叩き大工仕事で舞台を組み立て、衣装箱から時代物の扮装を選んでコテ塗りのメーク。ドサ回り役者たちの風情が活写される。役者たちは「事件を芝居にしたい」と脚本ネタの聞き込みに回るが、目の前でドアはピシャリ。マーティンは牢屋の女に会いに行く。女は唇の動きが読めた。「なぜ子供を殺した」と聞くと激しく拒否した。あり合わせの情報でとにかく芝居にしたが「子供が誘惑される」段になって観客席から嵐のブーイング。「誘惑されるような子じゃない」「大柄な子だった。女に絞め殺す力はないぞ」村人たちはさっさと席を立ち芝居は散々だった。様子がおかしい。母親は遺体と対面もできなかった。1年で4人もの少年が行方不明になっている事実がわかる。一座は領主のデ・ギール卿の意向で、夜明けまでに村を去らねば投獄だと通告を受けた。役者たちはひたいを集めそれぞれの疑惑をテーブルに乗せた。結論。事件には秘密がある。女は無罪だ▼よくまとまった映画です。惜しむらくはこの役者が登場しただけで犯人がわかってしまうことね。デ・ギース卿のヴィンセント・カッセルよ。少年たちを拉致しレイプして殺す極悪非道の領主。村人たちは彼の仕業だと気づいてはいるが口に出せない。濡れ衣を着せられ、首をくくられる女と同じ目にあう。折しもペストがヨーロッパ全土に蔓延し始めていた。少年の墓を掘り返したニコラスは少年がペストに罹患していたとわかる。ならばギースも…。ニコラスは領主の城に行き、謝罪を求めるが逆に殺されてしまう。しかし彼の行動を見た村人たちは勇気を奮い起こし、ギースの城を襲撃し火を放った。マーティンたちは処刑寸前の女を助け、燃え上がる城を後に巡業の旅に出た。中世ヨーロッパの佇まいをかもすに村や風俗、旅から旅を回る役者たちのこだわりのない身軽なスタンス、初々しいトム・ハーディの女装ぶりも一見の価値あり。サイモン・ペグはわかりませんでした。見落とさなかった人、さすがですね。でもなんといってもヴァンサン・カッセルの登場がキモ。彼のカマキリ顔が出た途端、筋書きに察しがつくというカリスマをなんと言えば? 未公開でしたが好きになれる映画でした。

 

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