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特集「美しい虚無-妄想映画の魅力」

2020年11月17日

特集「美しい虚無12」② 
サラブレッド(上)(2019年 サイコ映画)

監督 コリー・フィンリー

出演 アニャ・テイラージョイ/オリヴィア・クック/アントン・イェルチン

シネマ365日 No.3387

継父抹殺計画 

特集「美しい虚無12」

いやなやつだなあ、リリー(アニャ・テイラージョイ)って。久しぶりに会った近所の女の子アマンダ(オリヴィア・クック)の母親に頼まれてアマンダの家庭教師兼セラピーみたいなことをやる。アマンダは精神科医によると境界性パーソナリティ障害、極度のウツ、反社会性パーソナリティ障害で次々病名をあてがわれ、薬を処方しまくられている。本人は「私の脳は正常。感情を搭載していないだけ。だからって悪人ではない。善人になるのに努力が必要なだけ」と自己分析する。思春期にはこういう子、よくいますよ。極度に感受性が強くて社会や対人関係の折り合いがつけられにくく、わかってもらおうとすると説明するのが面倒臭く(もういいや)となるのね。本人がいうように悪人でも人非人でもないわ。アタマが良くて飛び抜けて敏感だから、リリーがつくウソを一目で見抜いちゃう。リリーが住むのは裕福な豪邸で何も不自由はないが、継父が大嫌いだ▼継父にしたら自分の出す金で大学まで行って、実父が急死したかとら落ち込んで、論文を盗作したか何かで退学になった(本人は隠していたが)、家では反抗的で批判的。確かに彼は高圧的で健康フェチの変わり者だが、再婚した母親が機嫌よくしているのだから、娘には関係ないはず。アマンダから見るとリリーは幸せそうじゃない。リリーから父親を殺したいと聞き「彼の殺害は費用便益分析にかなっているわ。皆の利益になるはず」と肯定する。さらに「この国の倫理観はピューリタンに影響されすぎ。性行為で生まれる子が聖なる存在だとでも? 生まれて害のある子だっているでしょ。いうなれば故障している機械みたいなもので安楽死させるべきよ」「あなたがやって」とアマンダに頼むが、動物虐待(骨折したサラブレッドを殺した)で補導中だから、今度ミソつけたら刑務所行きだ▼誰かにやらせるとしたら、ヤクの売人でヘタレの口先男ティム(アントン・イェルチン)がいいと合意に達した。ある日彼女の家を訪ねたら裏庭に突っ立ったまま空を見ている。「何をしているの?」母親も「わからないわ」としか言えない不思議ちゃんである。泳ぎに行った。潜水はアマンダが25秒。(たったそれだけ)と、リリーは勇躍潜り込むが頑張りすぎて溺死しかけ、アマンダに助けられる。アマンダには他人から見て奇行と思える箇所はあるかもしれないが、根は善良なのだと思えてくる。ティムはヤク売人でしょっぴかれる警察より、女子二人の方が恐ろしい。殺人請負などできるはずもなく、依然継父はピンピンしている。おまけに自分を厄介払いするために遠隔地の寄宿学校に入れることを決め、入学金と授業料は払いこみ済みだから、卒業したら勝手にしろ、もう面倒見てやらん、と宣言された。ぐずぐずしておれない。継父抹殺は自分でやるしかない、とリリーは計画を立てる。このやり方というのが「いやなやつだなあ」と慨嘆に値するのだ。

 

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